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君に届け (2010)

監督
熊澤尚人
  • みたいムービー 427
  • みたログ 4,400

3.94 / 評価:3126件

おっさんにも届いたその想い

  • ryo***** さん
  • 2010年10月7日 18時45分
  • 閲覧数 1293
  • 役立ち度 228
    • 総合評価
    • ★★★★★

原作やアニメなどの関連作品は一切見ていない(そもそも存在自体知らなかった)状態での鑑賞となったのだが、40のおっさんにして普通に楽しめた事、それにまずビックリした。映画としてもよくできている。だから原作ファンからの不評という意見(しかも結構厳しい)、それにもビックリしてしまった。

正直導入部では不快な描写も多く、よくある漫画原作に固執した、オーバーアクトで人間味の無い連中による戯れかな?とも思ったが、友達というキーワードが見え始めた頃から右肩上がりに面白くなっていき、3人娘でピークを迎えつつも、そのいい状態をキープしたままエンディングへとなだれ込む。派手な事件など起こらないし、奇抜な描写も無いんだけど、それがかえって登場人物を深く掘り下げ、感情移入度を高めていった。

特に人との接し方の知らない爽子が、見た目ヤンキーの2人組(千鶴とあやねで合ってます?)と友達になっていく過程は非常に説得力がある。普通人と人が共に行動する場合、本音で接すると関係性が壊れるかもしれないという恐怖心から、例え友達であっても自身を装い壁を作ってしまう事が多い。おそらく日本人独特の”遠慮”や”謙虚さ”が働いてしまうからだろう。

だが悪気なく自身を装わない爽子と、自身を装うのが面倒な千鶴とあやねは、周りや友人に対しても常に本音でぶつかっていくため、自分を装いながら生きている大半の”普通の人たち”からは浮いた存在になってしまう。言い方は悪いが、人付き合いというより”世渡り”がヘタクソなのだろう。

そんな傍目では両極端に見える人間性でありながら、本質の部分で同じ彼女らが友達になるのは必然であり、その過程が実に見事に描かれている。それも単に言葉にしたから伝わるとかいった表層的な表現ではなく、”気持ちが届く”という漠然としながらも芯に強い想いの丈を心の変化で語っていくのだ。言葉に頼らず”いつの間にかそうなっていた”を描くのは難しいが、この作品はそれを乗り越えている。・・・褒めすぎか?

爽子と風早の恋愛模様に関しても、決してアクシデントや奇跡、ドラマティックな展開には頼らず、あくまで日々起こり得る出来事を見つめていく事で描かれていく。それでも後半に掛けてはジックリ描く時間も無く、原作に比べ詰め込み過ぎているのかもしれないが、個人的な心象としては上手くまとまっているように感じられた。

残念な部分は”貞子”というそもそものキャラ設定で、彼女を常識ハズレに純心な人物に仕立て上げたのも、相当に残酷な仕打ちでものり越えられるからという、使い勝手のよさを優先した理不尽さが見え隠れしてしまい素直には受け取れなかった。それと担任の先生の人間性があり得ない。特に冒頭の爽子に対する接し方は教師というより人間として失格だ。ああいう人間を無自覚に(しかも肯定し)登場させてしまう無神経さに腹が立つ。


ちょっと褒めすぎな気もするが、期待値からすればかなり面白かったのでなるべくいい部分を拾い上げてみた。映画としてはホントよくできていると思う。それでも原作ファンにとっては厳しい評価となったようで、作品として面白い事が誰にとっても満足させる事には繋がらない、そんな映画造りの難しさを痛感する。

人気が高い故の現象なのかもしれないが。

詳細評価

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