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セラフィーヌの庭
2010年8月7日公開

セラフィーヌの庭

SERAPHINE

1262010年8月7日公開

bakeneko

5.0

ネタバレ本物は痩せているのですけどね

不思議な偶然から20世紀前半にドイツ人画商に依って“発掘”された、市井の画家セラフィーヌ・ルイの後半生を、画商の視点を中心としてセミドキュメンタリー的に描いた野心作であります。 フランスのアカデミー賞である:セザール賞を多く受賞していることからも、本作がフランス人の心の琴線に触れる映画であることが分かります。 “自然への敬意と一体になることへのあこがれ”と“素朴で純粋な信仰心”を持ったセラフィーヌの“描きたいから描く”という人間の創作への根源的な姿勢に“聖”なる清らかさを見せて感銘を与えてくれます。 他の画家の伝記映画と比べると、「モンパルナスの灯」、「炎の人ゴッホ」、「エゴン・シーレ」の様な芸術家の人生の苛烈さを描いた作品に比べて、本作のソフトな語り口は、生きることの中で自然に描くー「ピロスマニ」に近い作風となっています。 そして、実話がベースでなければ“御都合主義”と言われる程の数奇な偶然と、創作された絵画のユニークさへの新鮮な驚きに満ちた作品であり、コメデイエンヌとしてお馴染みのヨランド・モローのシリアス演技に感心させられる映画でもあります。 さらに、舞台演出家の映画作品ですので従来の映画文法と異なるリズムが興味深く、物語展開と決着点も凡百のハリウッド映画の様な“安易なカタルシス&落としどころ”に頼らない硬派な映画であります。 終始誇張無く、ストイックな語り口で展開するー人間も含めた“そこにある自然の美”に関する不思議な実話の映画ですが、素直な娯楽作品を期待する方には少し重い&カタルシス不足かも知れません。 ねたばれ? 1、特異な“絵の具”を使っているけど、あとで作品に虫が集ったり黴が生えたりしなかったのかなあ? 2、ちゃんと彼女に正直に絵の売上金を最後まで払ったのかな?

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