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酔いがさめたら、うちに帰ろう。 (2010)

監督
東陽一
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3.40 / 評価:222件

毎日かあさん秘話。浅野忠信、渾身の名演!

  • 映画生活25年 さん
  • 2010年12月16日 4時08分
  • 閲覧数 1416
  • 役立ち度 43
    • 総合評価
    • ★★★★★

人気漫画家・西原理恵子の元夫で戦場カメラマン、アルコール依存症の末、癌で死去した鴨志田穣氏の原作。
この西原理恵子という漫画家、昨年あたりからその作品、関連作が映画化されること多数。
読んだことはないが来年2月には「毎日かあさん」も公開される。
だがその裏側にこれほど壮絶な物語が存在していたとは驚きだった。
「毎日かあさん」の予告編では父が「オネショ」をしてしまうシーンがあるが、本作での失禁シーンは決して笑えるものではない。
「毎日かあさん」ではこの壮絶な日々を、いったいどういう位置づけで描いているのであろうか。
明るくてにぎやかなだけの作品でもいいだろう。
だがこの壮絶な物語を知っていると、どのような感覚で鑑賞することになるのだろうか。

本作の内容も、壮絶ではあるが、コミカルなところもある。
その内容とは簡単に言えばアルコール依存症の男の闘病記である。
そして元妻と子供たちのためにも立ち直る決意をするが、癌に冒されこの世を去る男の悲劇である。
鴨志田穣氏本人の原作であるのだから、当然その死までは描かれない。
しかし本作ではその死が表現されている。
このシーンが実に印象的で、今まで何千本も映画を観ているが、このような形で死を表現した作品は観たことがない。

脚本・演出とも素晴らしく、シュールな描写もいくつかあるが、そのバランス感覚が見事で不自然さや違和感は感じない。
またその描写の結実点になるのが「死」を表現したシーンとなる。

演技陣が皆秀逸だ。
まず子役では息子役の藤岡洋介くん。
恐れ入るほどセリフ回しがうまい。
本作が映画デビューということだが、今後活躍間違いないだろう。

医師を演じた利重剛と高田聖子も見事。
失礼だがあまり馴染みがないので、異常に演技がうまい医師にしか見えなかった。
またアルコール病棟の面々も、馴染みがない役者については、同じく異常に演技がうまい患者にしか見えなかった。
もちろんこれらは皮肉ではなく、最大級の讃辞と受け取っていただきたい。

元妻・園田由紀(西原理恵子)を演じた永作博美。
普段は気丈な笑顔を振りまくが、泣き崩れるシーンがある。
このシーンが実に見事で心動かされる。

そして塚原安行(鴨志田穣)を演じた浅野忠信。

酒をやめたくてやめたくてしょうがない、でも飲みたくて飲みたくてしょうがない。
カレーが食べたくて食べたくてしょうがない。
家族に会いたくて会いたくてしょうがない。
そして生きたくて生きたくて、しょうがない。

そんなあらゆる想いが、全編にわたってにじみ出ている。
今まで様々な浅野忠信を観てきた。
その実力の高さは言うまでもないが、本作はまさに渾身の名演である。
この演技がもしも映画賞に引っかかりもしなければ、その賞はウソだと言えるほどの最高の演技だ。

本作は決して泣かせる作りにはなっていないと思う。
だが私のような映画依存症患者には、涙せずにはいられない魂のこもった作品だった。

詳細評価

物語
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