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酔いがさめたら、うちに帰ろう。 (2010)

監督
東陽一
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3.40 / 評価:225件

解説

人気漫画家・西原理恵子の元夫で戦場カメラマンの鴨志田穣が、自身のアルコール依存症の経験をつづった自伝的小説を映画化した人間ドラマ。重度のアルコール依存症になった男と、彼を支え続けた家族たちの日々を、『わたしのグランパ』の東陽一監督が丁寧に描き出す。身勝手だが憎めない主人公を浅野忠信、その妻には『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の永作博美がふんする。どん底の状況で主人公が自分と向き合い、家族という心の居場所を見いだしていく姿が胸を打つ。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

戦場カメラマンとして世界中を駆け回ってきた塚原安行(浅野忠信)は、人気漫画家の園田由紀(永作博美)と結婚し子どもにも恵まれるが、彼のアルコール依存症が原因で離婚。やがてアルコール病棟へ入院した安行は、そこで出会った人々との触れ合いに不思議な安堵(あんど)感を覚える。家族の深い愛情に支えられ、安行は穏やかな日々を取り戻すが……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2010 シグロ/バップ/ビターズ・エンド
(C)2010 シグロ/バップ/ビターズ・エンド

「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」“すでに死にかけた男”の魂の放浪、その儚くも美しい終着点

 いきなり主人公が死にかけている。そこから過去にさかのぼり、“なぜ彼はこんな苦境に陥ったのか”を明かしていくというのはスリラーなどによくあるパターンだが、この映画は時間を逆戻ししたりしない。すでに死にかけている男のその後の虚ろな闘病の日々を描いていく。冒頭、10度目の吐血をした主人公のもとに駆けつけた元妻のセリフがふるっている。「大丈夫。まだ死なないよ」。

 アルコール依存症の主人公は、酒に酔って気絶する。家庭内で暴れて気絶する。医師の診察中にも、入浴中にも気絶する。それでも男はどこかのんきな風情を保ち、入院患者仲間たちと冗談を交わしたりする。東陽一監督の演出も浅野忠信の芝居も、この病気の根深さを伝えつつもシリアス一辺倒ではなく、ひょうひょうとした味わいがある。観ているこちらもまるで不条理ファンタジーのような展開に誘われ、つい場違いな笑いをこぼしてしまう。

 ふらふら危なっかしい主人公をかろうじて現実世界に繋ぎ止め、仕事と育児にも奮闘する元妻役の永作博美がすばらしい。主人公の病状がいよいよ末期に差しかかった頃、映画はアルコール依存症という題材から解放され、ひとりの男のさまよえる魂の“よりどころ”にフォーカスしていく。題名に掲げた“うち”とはもちろん“家族”のことだが、やがて訪れる浜辺のラストにはちょっとした映画的なマジックが仕掛けられている。冒頭から死にかけていた男の生が最もきらめく瞬間。こんな儚くも美しい幻のようなシーンは、そうそう見られるものではない。(高橋諭治)

映画.com(外部リンク)

2010年12月2日 更新

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