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愛の勝利を ムッソリーニを愛した女 (2009)

VINCERE

監督
マルコ・ベロッキオ
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3.86 / 評価:35件

解説

ファシズムという言葉を生み、ヒトラーと並ぶ独裁者と称され歴史に名を残したベニート・ムッソリーニを、自分の人生をささげて愛した実在の女性の半生を描く人間ドラマ。歴史の闇に葬られた壮絶な愛の物語は、全米批評家協会賞主演女優賞を獲得したほか、世界中の映画祭で絶賛された。監督は、『夜よ、こんにちは』のマルコ・ベロッキオ。最愛の人から裏切られながらも、人生を懸けて信念を貫くイーダにふんしたジョヴァンナ・メッツォジョルノの鬼気迫る演技に、引き込まれる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

若きベニート・ムッソリーニ(フィリッポ・ティーミ)と恋に落ちたイーダ(ジョヴァンナ・メッツォジョルノ)は、自分のすべての財産を投げ打ってまで彼の理想を実現させようと支える。やがてイーダは彼の子どもを産むが、ムッソリーニはすでに家庭を持っていたことを知る。自分が彼の妻であり、息子がムッソリーニの子であると認知させようとするイーダだったが、彼女は危険人物と見なされてしまい……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2009 Rai Cinema-Offside-Celluloid Dreams
(C)2009 Rai Cinema-Offside-Celluloid Dreams

「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女」ムッソリーニにすべてを捧げた愛人の数奇な生涯

 「20世紀最大の発明は、映画、ファシズム、精神分析」と言われるが、マルコ・ベロッキオの新作は、ムッソリーニへの偏執的な愛に殉じたイーダの数奇な生涯を凝視することで、20世紀そのものの酷薄な命運を透かし彫りにする傑作である。

 神を否定し、女と交わる間も虚空を睨むムッソリーニは、「十月」(セルゲイ・M・エイゼンシュテイン監督)の演説するレーニンを始め、おびただしい権力者の映像を介して、自らも時代の狂気を体現する超越的な怪物へと変貌し続ける。夢の工場チネチッタ撮影所をつくったムッソリーニは、映画がファシズムにもっとも親和するプロパガンダ装置であることを知悉(ちしつ)した独裁者でもあったのだ。

 一方、彼の子を宿したイーダは<狂気>の烙印を押され、息子とも引き裂かれて精神病院へと幽閉される。

 ここから、専制的な権力の奸計に不屈の精神をもって抗するイーダの孤独な闘いが開始され、画面はまるで触れれば火傷しそうなほどの圧倒的な熱量を放ち始める。イーダが、深夜、雪が舞う中、鉄柵をよじのぼって息子への手紙をばらまくシーンには、「蝶々夫人」のヒロインのような荘厳な悲劇性が漂っている。さらに病院内でチャップリンの「キッド」が上映され、嗚咽しながらスクリーンに見入るイーダをとらえた美しい場面で、それはクライマックスに達する。

 膨大なニューズリールや濃密で過剰なまでにオペラ的なメロドラマの手法を大胆に駆使して、歴史から抹殺されたヒロインを崇高な存在として救い上げるという離れ業には、ただ脱帽するのみである。(高崎俊夫)

映画.com(外部リンク)

2011年5月26日 更新

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