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ヘヴンズ ストーリー
2014年12月6日公開

ヘヴンズ ストーリー

PG122782014年12月6日公開

kaz********

4.0

憎しみの連鎖はどこかで断ち切らなければ

題名は「ヘヴンズストーリー」だが、この世には天国なんてないといってる気がする。家族を殺された憎しみに囚われて復讐するなら、その憎しみは連鎖されいつまでも殺人がくりかえされるであろう。 4時間38分という長尺だが、登場人物の誰もが家族を殺されており、その人物たちが極めて近距離で生活しているというストーリーには少し違和感を持つ。9章に渡るエピソードは関連しているとはいえ、唐突な感じもする。『復讐代行業』の話は削っても良かったのではないか。それに海島に父を殺されたカナの出産も、復讐で死ぬ者たちとの対比を印象付けようとしているが成功しているとは思えない。なにしろ、現職警官が殺人を行う海島の振る舞いが甘く現実味がない。 物語は、父と母と姉を殺されたさとが、同じ妻と子を殺された佐藤知己の『刑務所の外に出たら必ず殺す』という弁舌を聴いて彼のファンになる。そして新しい家庭を築いていた知己に近づき、彼と行動を共にするというストーリー。知己のターゲットになる相川は若年性アルツハイマーを患う寺島恭子と養子縁組を行い出所する。過去の罪を反省した相川は、恭子の介護を献身的に行う。しかし、知己とさとはそんな相川を許してくれなかった。さとは、家族を殺した犯人は自殺し『私の殺したい人は、もういない』と分かっていながら、知己の復讐に深入りするのか分からない。ラスト近く、知己に「怖くないのか」と問われ、「人はいつか死ぬものだから」と言い放つ。不毛の復讐が終わった後、さとは何を感じただろうか。 憎しみの連鎖は新たな憎しみを産みいつまでたっても平和は訪れない。どこかで断ち切る寛容性をもつ必要があるのでは。 とはいっても、それぞれのエピソードが重いテーマを持っており、力作には違いない。

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