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シネマ歌舞伎 大江戸りびんぐでっど
2015年8月29日公開

シネマ歌舞伎 大江戸りびんぐでっど

1032015年8月29日公開

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3.0

(シネマ)歌舞伎も、りびんぐでっど、か?

 大方の解説では、「江戸時代に現れた"ぞんび"が、人間の代わりに派遣社員として働くという奇抜なアイデア」に「音楽、衣裳、道具幕デザインなど、異色の才能が歌舞伎座に集結」して、「一発芸から下ネタ、ヒップホップ・ダンスなどのエンタテインメント」ということらしい。ザックリいえば、「何でもありの無茶苦茶現代歌舞伎」ということだ。  ゾンビが派遣社員という“奇抜”さも、各々“異色”の才能も、 “エンタテインメント”も、“現代”歌舞伎として、それも良しとするかな。でも、どうなのかな、面白いかな。  製作者(企画、演出、役者、等々)は、どちらなんだろう。ゾンビか、派遣社員か、はたまた派遣会社か。捧腹絶倒して劇場に足を運ぶファンは、ゾンビ? 派遣の社員? 会社?  それで気になるのは、幕府はどこにいる? 派遣社員がゾンビと喧嘩する。それを見て「これぞエンタテインメント」と喜ぶ奴らがどこかに居るんだ。それも舞台に引っ張り出して、躍らせる“異色の才能”は“集結”しなかったのかな。そこまでやると、幕府からお咎めがあるのかな。  ―― ―― これで、現在レンタル可能な『シネマ歌舞伎』のシリーズは全部観終えた。ともあれ、食わず嫌いの歌舞伎への偏見は払拭されたようだ。しかしなお疑問は残る。現代歌舞伎の陰に押しやられた?元々の歌舞伎はどうなんだ? どこに有る? まさかゾンビに食われてしまった訳ではなかろうに。  それなりに分かったこともある。『シネマ』歌舞伎の限界だ。舞台劇というのは劇場で観ない限り分からないということだ。シネマは冷たい。巻き戻し再生可能なシネマに撮られると、どんな名演でもアラが目につく。息が乱れ、汗が飛んで来るほどの演者と観客の近い距離と時間の同時性というリアリティーは冷たいレンズには納まらない。結局のところ、シネマの視聴者は冷たいレンズ越しの冷たい観客でしかないのだ。だからと言って、今更歌舞伎場に行く体力もないし、困ったことだ。  同じことは、スポーツ観戦でも音楽鑑賞でも同じ。その場その時の臨場感(応援を含む、参戦・参加でもある)のないテレビ観戦、レンタル鑑賞には初めから限界がある。ただし、映画となると話は別。ライブ中継ではないのだから、冷たいレンズに耐えられるものでないといけない。

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