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ブロンド少女は過激に美しく
2010年10月9日公開

ブロンド少女は過激に美しく

SINGULARIDADES DE UMA RAPARIGA LOURA/ECCENTRICITIES OF A BLONDE-HAIRED GIRL

642010年10月9日公開

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5.0

稼ぐ男と盗む美女

2009年。マノエル・デ・オリヴェイラ監督。貧しい会計士の若者は事務所の窓から見える隣の美少女(監督の孫)にひとめぼれ。どこか神秘な気品がある少女のために、働いて財産をつくったうえで結婚しようとするが叔父が猛反対。仕事を首になって追い詰められていくが、、、という話。いや、という話を男自身が電車に乗り合わせた見知らぬ他人の女性に語って聞かせるという映画。 窓から見る美少女は白の薄いベールの前に立ち、扇をひらひらさせていて、ほとんど実体のない影のようです。その影のような美少女との結婚のために男は遠い異国へ出向いて必死で働く。ところが、結婚直前になって、この美少女に盗癖があることがわかってあえなく破綻するという展開です。なんのためにあれほど稼いだのかということですが、しかし、彼女がいなければ彼は働く意味を見いだせなかったはずです。彼女がいたから彼はあれほど一生懸命に稼ぐことができたのです。そして叔父が結婚に反対したのは彼女の盗癖に気付いたからであるらしいことが、かなり冒頭にそれとなく示されている。最初から盗癖には気づかぬことにしておいて、私に生きがいをくれる存在として、必要とされた影のような美少女。 それはラストでマリオネットの人形のように椅子のなかで四肢を投げ出して頭を投げ出す彼女の姿でわかります。彼が生きがいを見出しさえすれば彼女の出番は終わりなのです。 金をため込んだブルジョワの豪邸、主人公のなけなしのチップの紛失、彼の蓄財と友人のための借金返済、そして彼女の盗癖。金の流れをとおして一人の青年が自分の道を見出していくことが、最後の一本道のレールでも表現されています。そういえば物語とは全く絡んできませんが、彼は会計士だった。

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