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ブロンド少女は過激に美しく (2009)

SINGULARIDADES DE UMA RAPARIGA LOURA/ECCENTRICITIES OF A BLONDE-HAIRED GIRL

監督
マノエル・ド・オリヴェイラ
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3.05 / 評価:38件

解説

ポルトガルの文豪エサ・デ・ケイロスの短編小説を、撮影中に100歳の誕生日を迎えた巨匠マノエル・デ・オリヴェイラが舞台を現代に移して映画化。リスボン発の列車に乗り込んだ主人公の男が、誰にも言えない衝撃的な体験談を隣の席に座った見知らぬ婦人に語り聞かせていく。主演は、オリヴェイラ監督の孫であるリカルド・トレパ。主人公の男と見知らぬ婦人による小気味良いやり取りと、皮肉とユーモアに満ちたストーリー展開が楽しめる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

列車で隣り合わせた婦人(レオノール・シルヴェイラ)に、衝撃的な体験を語り始めたマカリオ(リカルド・トレパ)。彼は叔父に雇われて洋品店の2階で会計士として働き始めた折、通りの向かいの家に姿を現したブロンドの少女ルイザ(カタリナ・ヴァレンシュタイン)に一目ぼれし、結婚の許しを得ようとするまでに至ったというが……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)FILMES DO TEJO Ⅱ、LES FILMS DE L’APRES-MIDI、EDDIE SAETA SA、2009
(C)FILMES DO TEJO Ⅱ、LES FILMS DE L’APRES-MIDI、EDDIE SAETA SA、2009

「ブロンド少女は過激に美しく」現役最長老の映画作家による洒脱で機知に富んだエロティックな小咄

 なんと100歳を越えた現役最長老の映画作家マノエル・デ・オリベイラの、信じられないほどの艶っぽさとみずみずしさにあふれた新作だ。冒頭、列車の中で、主人公マカリオが隣の美しい夫人に「『妻にも、友人にも言えないような話は、見知らぬ人に話すべし』と言います。どうか、私の話を聞いていただけますか」と語りかける。

 まるで、フェルナンド・レイが乗客に<宿命の女>をめぐって打ち明け話を始めるルイス・ブニュエルの遺作「欲望のあいまいな対象」とそっくりな導入部に笑ってしまう。「昼顔」の続編をぬけぬけと撮ってしまったこのポルトガルの巨匠は、明らかに晩年のブニュエルと同様、あたかも玩具を弄ぶように<映画>そのものと優雅に戯れている。

 マカリオはブロンドの少女ルイザへの狂恋のてん末を切々と打ち明けるが、時おり、相槌を打つ夫人は、謎めいた微笑で受け止めるだけ。見る者は、若き日のドリュー・バリモアに似た小悪魔ルイザに翻弄されるマカリオの滑稽で悲惨に満ちた運命譚を、時には微苦笑し、時には固唾を呑んで見守るほかない。

 向かい合った窓際からのルイザの媚態をこめた眼差し、赤い絨毯が敷かれた階段を走り去っていくメロドラマ的なイメージ、キッスの時に片足をすっと上げるポーズ……ハリウッド映画のルーティンを臆面もなく活用しながらも、語り口は巧緻をきわめ、まぎれもなく皮肉な箴言(しんげん)を伴う西欧的な風刺劇の伝統の厚みを感じさせる。洒脱で機知に富んだエロティックな小咄を堪能したという贅沢な余韻だけが残るのだ。(高崎俊夫)

映画.com(外部リンク)

2010年10月7日 更新

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