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塔の上のラプンツェル (2010)

TANGLED

監督
ネイサン・グレノ
バイロン・ハワード
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4.24 / 評価:2885件

18年の家族関係という束縛は幸福だったか?

  • agn******** さん
  • 2020年5月3日 16時37分
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

久しぶりに地上波で見たので感想をしたためます。

まずラプンツェルのお話のテーマは「(自他を含めた)束縛からの解放」であり、これはラプンツェルにもプリンス役のユージーンにもいえることだと思います。

望まない状況にに甘んじ変化を求めなければ人は良い方向に進まないし、事実二人は出会いをきっかけにそれぞれの束縛から開放され、ハッピーエンドを迎えます。ラプンツェルは義理の母・ゴーテルの”支配”から、ユージーンは悪党としての人生(または富と力への渇望たる、象徴としてのフリン・ライダーという偽名)からの解放です。ゴーテルとの関係を”支配”としたことについては後述します。

※一応ディズニープリンセスのお話なのでプリンセスとプリンス役が登場人物として立てられてる以上、ふたりが出会い幸せになるというの物語の前提条件と考えています。これを崩すのはただの邪道です。

二人が出会いを経て自身の人生を見つめ直し、とるべき生き方について再確認する。マイナス面からの脱却のためには今の停滞した環境を抜け出してゼロに向かわなければならない。そのためには勇気を出して変化を試みるべき。それが、ヒロインだけにとどまらず作品全体に一本の芯として作られたテーマだと思います。(例えば、酒場の荒くれ者達もラプンツェルに諭されて新しい夢に向かおうと変化していくシーンも、またテーマの象徴の一つでしょう)

私自身とてもこのお話はポジティブでわかりやすく、キャラクターにも感情移入がしやすいです。映像も美しく、好きな作品の一つです。歌を含めた音楽は少し地味だったかもしれませんね。

さてそこで表題に触れますが、この作品が”束縛からの解放”を目的とする時、ゴーテルとラプンツェルの関係は間違いなく物語上の”変化なき”マイナスであり、ともすればゴーテル自身が永遠の若さと命を独占し不変の存在として自然の摂理に反した存在になります。その枠組みの中であれば、ラストの塔からの転落する(というか魔法が解け数百年分の長寿のツケを負い灰になった)、「悪として罰せられた」結末は仕方ないようにも感じます。

利益の独占目的であったとしてもゴーテルとラプンツェルの18年の親子関係は否定するべきではない、という意見もあるかもしれません。ただそれはラプンツェルの18年間の両社の関係を内外から見たときに幸福であったどうかによるでしょう。

まずゴーテルからしてラプンツェルへの対応は、
①そもそも同じ家に住んでいない(=塔は家ではなく”牢”だから)
②ラプンツェルの言動・容姿に否定的(「モゴモゴ喋るな」「ポチャポチャしてる、か弱い」等、逆に自分の容姿を引き立てる目的でも)
③優しい言動を取るのは自分の意に沿う場合のみ(少しでも意見を言うと「私を悪者にするのね」と取り合わない)

以上のように短い中でもかなりネグレクトめいた行為が多く、端的には仮初とはいえ親子の情を感じるようなシーンは見受けられませんでした。そもそも食事すらまともに作られているのか疑問です。スープを作るような発言はありましたが、ラプンツェルは自分で料理をするシーンもありました。食事の提供という行為が絶対的なこの親子の絆とは言えない気がします。それにやはり①のようにゴーテルの生活基盤が塔の中に無いので、育ての親という名目には疑問を覚えます。

終盤のラプンツェルが生い立ちに気づき、ゴーテルへの態度を豹変させるシーンについては上記を踏まえると筋が通っているかと思います。軟禁扱いや心無い言葉を浴びせられる生活、何より自分の素直な気持ちを受け取ってくれないゴーテルに対し、ラプンツェル自身が親子関係への疑問を抱いていたのでしょう。唯一の心の拠り所だった”肉親である”という前提が覆された以上、彼女にはゴーテルへ秘してきた怒りの感情しか無く、案の定それが事実であったためもはやゴーテルは信頼に値しません。その上ゴーテルが私利私欲のために犠牲にしたのは王国の姫としての人生であり、街に出て国王王妃の情の深さを知った後ではなおのこと納得ができないでしょう。

そもそもラプンツェルはゴーテルに育てられなくても十分に、むしろそれ以上に幸せになれたにもかかわらず、ゴーテルの自分勝手な目的のため18年の人生を犠牲にされた人物です。お世辞にも幸福な関係ではなかったと考えます。それにゴーテルは終盤で邪魔になるユージーンを(魔法の力で命をつないだとはいえ)明確な殺意のもとに刺し殺しています。一回死んでますから。申し訳ないですがそんな悪意に満ちた人物が”親だった”という免罪符だけで裁かれないのはむしろ疑問が残ります。白雪姫の女王と対して変わらないと悪党だと思います。

以上を含めると、ラプンツェル親子の家族関係は結末に然るべきであり、子供に一方的にな不幸を強いるまさに毒親の成り立ちだったと思います。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • ロマンチック
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