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塔の上のラプンツェル
2011年3月12日公開

塔の上のラプンツェル

TANGLED

1012011年3月12日公開

むぎちゃ

3.0

ネタバレ後味の悪さを感じる作品

面白くないわけではないですが、名作と言われると抵抗があります。 他の名作ディズニーと比べて、突き抜けた部分がないです。 キャラクターの個性もあやふやで、無難にまとめたという感じです。 ラプンツェルは塔の中で母親と二人きり、他の人間には会ったことも見たこともない、という環境で十数年も生きてきた。しかも母親は「あなたのこと愛してるわ」と言いながらほとんど自分の話を聞いてくれない毒親。当然ながらテレビのような情報ツールもないから、他の家族がどんな風なのか、知る由もない。 なのに、おてんばで良い子に育っているラプンツェルに違和感しか感じませんでした。普通、そんな環境で育ったらもっと大人しくなってしまうと思うのですが。いくら赤ちゃんの時にお城にいたとはいっても、その何倍もの時間を毒親と過ごしてきたのですから。外の世界に憧れるというのはアリエルも同じですが、家族や国民に愛されて育って、人間の暮らしをちょこちょこ見ることのできる自由があった彼女とは状況が違います。ノートルダムの鐘のカジモドのように、眼下に人々の暮らしが広がっていて「いいなあ、自分もあの中に入りたい」と思える環境があったわけでもない。唯一の友達(?)のカメレオンは喋れないし、「誕生日にだけ見える謎の光」だけでは外交的になる理由としては弱い。一方で、おてんばかと思えば母親に従順な態度をとり、外に出られて喜んだかと思えば言いつけを破った自己嫌悪に陥り、自分の正体を知って何ら葛藤も戸惑いもなく偽母を突き放したかと思えば塔から落ちる偽母に手をのばしたり、性格が一定せずよくわからないキャラになっていると感じました。 偽母も悪役としてのインパクトに欠けますし、所々詰めの甘さが露呈して興ざめです。城の警備を突破して王女を誘拐する謎の体力がありながらもラプンツェルに誕生日を教えたり洗脳がテキトーだったりと中途半端な印象でした。 フリンライダーは自分を犠牲にしてラプンツェルを助けたということで好感度が高いみたいですが、あそこで咄嗟に髪を切る必要性はなかったし、やはり他人の髪を勝手に切るのはよろしくないかと。「彼のケガを治させてくれたら一緒にいる」というのは所詮口約束ですから、ケガを治した後でもどうにかなったはずです。そもそも、自分の命を捨ててまでラプンツェルを救いたいという想いがなぜ彼に沸いたのか不明です。なぜフリンがラプンツェルを好きになったか、逆になぜラプンツェルがフリンを好きになったかきちんと描かれていません。フリンは女性に慣れていそうなのでなおさら疑問を感じます。これが、女性経験皆無な男だったらまだわかるのですが。 どうせ髪を切るならラプンツェル自身に切らせたほうがよかったのでは。ずっと伸ばし続けた魔法の髪を切ってしまうのは勇気がいりますし、母親との決別にもなる。「自己犠牲ユージーンイケメン!感動!」になってしまったのは個人的に残念でした。 ラプンツェルが自分の正体に気付くシーン、ほとんど初対面な実両親に何の抵抗もなく抱きつくシーン等、ほかにも不自然な場面はありますが、その辺は時間の関係かな、と思いました。 ミュージカル映画の要である音楽も微妙です。ディズニー映画でよくある、「誰もが知る名曲」的なものがありません。「I see the light」はこの作品のメイン曲なのでしょうが、ランタンの幻想的な背景でロマンチックに見せているだけで曲自体は普通。最近ディズニーの名曲特集でこの曲が紹介されることが多いのですが、やや無理があるのでは…と思います。日本ではメジャーではないディズニー作品でも「いいな」と思える曲が最低1つはあるものですが、ラプンツェルには一つもありませんでした。 ストーリーはわかりやすいので気軽に見られる作品ではあると思います。ただ、ラプンツェルが真実を知った途端偽母に冷たく攻撃的な態度をとるシーンがすごく苦手で、ディズニープリンセスの中で彼女だけ好きになれません。偽母の事をスッパリ見限って(一応、落下の直前に手をのばす描写はあるがそれだけ)、実家に戻って幸せそうに暮らしている様子に後味の悪さを感じます。 面白くないわけじゃないし映像は綺麗、だが後味が悪くキャラクターも好きではない、そんな理由で星3の評価にさせていただきます。

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