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大いなる幻影 (1937)

LA GRANDE ILLUSION

監督
ジャン・ルノワール
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4.29 / 評価:81件

貴族の死に様

  • 牛込太郎 さん
  • 2007年1月14日 23時24分
  • 閲覧数 359
  • 役立ち度 7
    • 総合評価
    • ★★★★★

どんな映画かと言うと,一言で言ってしまえば,
「戦争中に敵国の捕虜となった兵士達が
収容所からの脱走を試みる話」

いろいろの苦労があった後で,脱走が成功して終わる,
そんなありきたりな物語の中で,
唯一,異色を放ったのが,ある不可解な行動をとる一人の捕虜.
彼は,仲間の捕虜達の脱走計画にも乗り気ではないし,
祖国善戦のニュースを伝え聞いても仲間達のように喜ばない.
まるで戦争が終わることも脱走が成功することも
望んではいないような態度なのだ.

そんな彼の態度を理解する上で重要なのは,次の台詞.
「この戦争を最後に,我々貴族の時代も終わるだろう」
貴族階級出身の彼にとっては,戦争の続いている間だけが,
貴族としての自分でいられる最後の瞬間なのだった.
もし彼が自身の身分にこだわりを持っているとすれば,
戦争の終結よりも継続こそが
彼の望むところだったとしても不思議ではない.

戦争の終結が見えてくる中で,
彼を始めとする貴族階級出身の兵士達は,
その後の生き方の選択を迫られていたのだろう.
元貴族の退役軍人として一生を終えるのかどうか,
少なくとも彼にとっては,そんな人生を送るくらいなら,
今の内に,貴族としての栄誉ある死を選んだ方が
ましだったのだろう.
彼は,自分の命を犠牲にすることで,
仲間の脱走を成功へと導くのだが,
それは単に仲間のための自己犠牲と言うばかりでなく,
自分が,貴族としての栄誉ある死に方
(仲間のために死ぬと言う死に方)
をしたいがための利己的な行動でもあったのだ.

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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