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大いなる幻影 (1937)

LA GRANDE ILLUSION

監督
ジャン・ルノワール
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  • みたログ 240

4.10 / 評価:81件

ルノワールは何故退屈させてくれないのか

  • すかあふえいす さん
  • 2014年5月13日 11時05分
  • 閲覧数 912
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

一体、このジャン・ルノワールという偉大なムッツリスケベの重婚野郎は何故ここまで退屈させてくれないのだろうか。

「ピクニック」、
「黄金の馬車」、
フィルム・ノワール「十字路の夜」、
愉快な戦争映画「のらくら兵」「捕えられた伍長」etc...この男は一体何処まで人を楽しませてくれるんだ。

派手なドンパチも無い、ただ女や男たちの他愛の無いやり取り・・・これだけなのにどうしてこんなにも面白いのだろうか。
いや、時折見せる恐ろしいまでの切れ味は助監督であるジャック・ベッケルの鋭さもあるのだろう。「十字路の夜」の切れ味は後の「現金に手を出すな」を思わせる。

あの映像の神々しいまでの美しさは何だ。
仕事や勉強でどっぷり疲れた後に見ると、余計に癒される。女や男たちが静かに別れていくラストも凄まじく切なく感じる。

退屈とされる「どん底」「ゲームの規則」「南部の人」も俺はかなり楽しんで見てしまった(でも「どん底」だけはもう勘弁してくれ)。

この「大いなる幻影」もまた、そんなルノワールの傑作の一つだ。
捕虜収容所に囚われたフランス軍の男たち。
騎士道精神の権化のようなエリッヒ・フォン・シュトロハイムが醸し出す風格。銃火という壁が取り払われた軍人たちが交わす、人間の本質に迫ったリアルな会話の数々。
反戦を無性に叫ぶでも、戦争を擁護過剰に擁護するワケでも無い。
ジャン・ギャバンの髪の毛の量は明らかにおかしい。それだけ収容所生活が長いのだろうか?
ギャバンたちが脱獄する際の緊張感は、後のベッケルの「穴」に受け継がれたのだろう。
まるで静かに泣くように男を撃ち抜く弾丸。

シュトロハイムを始めとする登場人物たちがまとう幻想的な雰囲気。まるで血で血を争う戦争の現実から逃れ、収容所の“夢”の中へ入ったように。
ギャバンが出会う事になる女性もまた“夢”だったのかも知れない。
それでも、国境で彼らを待ち受ける銃兵は“現実”である。

常に人間味のある暖かい視線が貫かれた、戦争映画の不屈の傑作。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

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  • 不思議
  • 切ない
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