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カウントダウンZERO (2010)

COUNTDOWN TO ZERO

監督
ルーシー・ウォーカー
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2.47 / 評価:19件

核テロの秒読みゼロ。核廃絶可能性もゼロ。

  • 映画生活25年 さん
  • 2011年9月11日 4時36分
  • 閲覧数 395
  • 役立ち度 9
    • 総合評価
    • ★★★★★

世界の核兵器をなくしましょう、ゼロにしましょう、という半ば啓発目的な内容の作品かと思っていたが、「核兵器テロの発生までカウントダウンゼロ」という内容でもある。

現在世界にある核弾頭は約2万3000発。
管理されているものをカウントしてのことだ。
カウントされていない闇の核兵器も存在するのではないか、そしてそれによるテロが発生する可能性はあるのか、本作はまずその点で警鐘を鳴らす。

核兵器の犠牲になった我が国日本。
本作には広島の記録映像も登場するが、本作は「オウム真理教事件」に注目している。
「地下鉄サリン事件」は海外にも大きな衝撃を与え、「トーキョー・サブウェイ・アタック」と呼ばれている。
史上初にして現在まで唯一の都市部を攻撃した化学兵器テロであるのだが、本作はオウム真理教が核爆弾を入手または製造しようとしていたことを取り上げている。

核爆弾を製造するには濃縮ウランが必要になるが、これには大規模は施設と人員が必要になる。
しかし旧ソ連ではその管理も甘く、本気で入手しようとすれば、かかる金額は日本円で1000万円から1500万円程度というから驚きだ。
不可能と言われたサリン製造も、結局は一テロ宗教団体がやったわけだから、核爆弾製造も国家レベルでなくとも不可能とは断言できない。

カダフィ大佐の政権が崩壊したばかりのリビアだが、かつて核兵器の保有を目論んだ。
しかしアメリカの圧力と懐柔により、ウラン濃縮機をアメリカに引き渡している。
それでもまだこの技術を持つ国は40ヶ国以上。

核兵器を保有する国は国連常任理事国に限らず、インドやパキスタンなども保有しており、恐らくイスラエルも保有している。
ならずもの国家・北朝鮮が保有している可能性も大で、これがテロリストの手に渡る可能性もゼロではない。

基本的に原子力発電所を持つ国は、核兵器を製造する能力を持っていると言ってよい。
本作では触れていないが、先日(本作を鑑賞した9月4日より以前)、ある元防衛大臣の発言を聞いて私は非常に驚いた。
御存知の通り、現在日本では原子力発電所の必要性が議論されている。
それについての発言で

「原子力発電所を放棄することは、核兵器を1年以内に製造する能力を放棄すること。安全保障上それでいいのか。」

という主旨の発言だった。
この日本が核兵器保有など、にわかに信じ難い話だが、こういう議論を俎上に上げる国会議員は実は石破だけではない。

本作は核兵器テロ以外の危険も指摘している。
核兵器を扱う人間の判断ミスや機械の誤作動である。
これについては驚くべき事例が本作で紹介されている。

またかつてミニットマン・ミサイルの発射担当官だった人物のインタビューも紹介している。
ミニットマンとは「命令から1分で発射できる」という意味である。
施設内にはドミノ・ピザの広告を模して「30分以内に世界のどこにでもお届けします」という看板がある。
笑えないジョークだ。

終盤ではかつて核兵器保有国だった南アフリカが、核兵器を放棄したことを紹介している。
だが本作は触れていないが、これは当時の白人政権が、その後誕生する黒人政権に核兵器を持たせたくないがための措置であった。
こういった事情も伝えてほしかった。

2009年のノーベル平和賞はオバマ大統領に与えられた。
以前他作品のレビューでも述べたが、私はこれは強烈な皮肉でありブラックジョークだと見ている。
いくら削減されたとは言え、危険性は全く変わっていない。
来年の再選が絶望視されているオバマ大統領だが、それがひっくり返るような「何か」があるとすると、それは決して平和的なものではないだろう。

今日であれから10年。
今日、テロのカウントダウンがゼロになるかもしれない。
何もなく過ぎればいいのだが、それでテロの脅威が消えるわけではない。
そして、核兵器がゼロになる可能性もゼロなのである。

本作が伝えることは結局はそんなところ。
ドキュメンタリーとしても踏み込み不足感を否めない作品だった。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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