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人生万歳! (2009)

WHATEVER WORKS

監督
ウディ・アレン
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3.68 / 評価:269件

解説

『それでも恋するバルセロナ』などの名匠、ウディ・アレン監督の通算40作目となるラブコメディー。久々に舞台をヨーロッパから古巣ニューヨークに移し、くたびれた中年男性と若い娘の奇妙な恋愛模様を映し出す。主役を務めるのは、アメリカを代表するコメディアンのラリー・デヴィッド。その恋人を『レスラー』のエヴァン・レイチェル・ウッドが熱演する。いかにも都会的ウイットに富んだ会話と、複雑な人間ドラマに笑いがこみ上げる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

かつて物理学でノーベル賞候補にもなったボリス(ラリー・デヴィッド)は、自殺を図るが失敗。命は助かったものの結局妻とも離婚し、大学教授の地位も失ってしまう。今では古いアパート住まいの彼はある晩、南部の田舎町から家出してきたメロディ(エヴァン・レイチェル・ウッド)という若い女性に同情し、家に上げるが……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2009 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.
(C)2009 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.

「人生万歳!」「衰弱」を採集し、「乱交」を推奨しつつ、アレンは映画を撮りつづけている

 しょっちゅう撮っているから有難味が薄れるが、もしこれからウッディ・アレンの映画がめったに見られなくなったとしたら、どんなに寂しいことだろうか。

 アレンの40本目の監督作品「人生万歳!」を見ながら、私ははたとそんな思いに行き当たってしまった。

 「人生万歳!」は楽しい。原題どおり「なんでもあり」の物語だ。本拠地ニューヨークへ久々に戻ったアレンが、エリック・ロメールのコントさながら、緩急の変化をつけたきわどい球をコーナーに投げ分けている。

 今度の主人公は、60代のもと物理学者ボリス(ラリー・デビッド)だ。ボリスは貧乏だが辛辣だ。世界はアホと能なしに満ちていると公言し、ミシシッピ州から家出してきたメロディ(エバン・レイチェル・ウッド)という21歳の小娘と結婚してしまう。

 が、話はそこでとどまらない。一家離散状態だったメロディの母や父が、別々にニューヨークへやってきて、思いきり正直に、つぎつぎと頓珍漢をやらかしてくれるからだ。

 アレンは、そんな彼らをむしろそそのかす。シニシズムとペシミズムに首まで浸かっていた孤独な老人が、乱交推奨のサチュロスと化して、けらけらと笑い声をあげている。

 いや、そう書いては正確さを欠くか。ボリスに託されたアレンのペシミズムとは、容易に癒されるものではない。ただし、ペシミズムとは、限界を突破すると超楽天的な運命論に席を譲るものだ。アレンは、この秘密に通じている。「衰弱」を集め、「頽廃」と戯れ、なんとも愉快なアナーキズムを形にしている。いやあ、めでたい、悲惨はめでたい、私は悲惨を受け入れるぞ。こんなひとりごとをつぶやいているかぎり、アレンの映画はまだまだ先へつづきそうだ。(芝山幹郎)

映画.com(外部リンク)

2010年12月2日 更新

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