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BIUTIFUL ビューティフル (2010)

BIUTIFUL

監督
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
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3.76 / 評価:429件

死の宣告!限られた “生” と向き合う時

  • Kurosawapapa さん
  • 2011年10月28日 8時14分
  • 閲覧数 1048
  • 役立ち度 33
    • 総合評価
    • ★★★★★

主人公のウスバル(ハビエル・バルデム)は、妻と別れ、2人の幼い子供たちと生活。
日々の糧を得るためにあらゆる仕事を請い、時には非合法な仕事も厭わない。
しかしある日、ウスバルに絶望が訪れる。
“末期がん”の宣告。 残された期間は2ヶ月。
死への恐怖と闘いながら、ウスバルは愛する子供のために、残された時間を生き抜くことを決意する。



本作は、麻薬、不法移民の斡旋など、裏社会の闇を描き、
街の雑踏、 耳障りな音楽、 部屋の閉塞感など、 
スペイン・バルセロナの影を、暗澹と描き出しています。


ハビエル・バルデムというと、圧倒的な存在感と、ハードスタンス。

前半は、所々に、彼の威圧的場面がありますが、
後半は、元ラグビー・スペイン代表の体格は痩せ細り、オムツを履き、慟哭に至る、、、

カンヌ国際映画祭・主演男優賞を受賞した魂の演技は、圧巻です!



ウスバルは、死者があの世に旅立つ前に、対話ができる能力を持っています。

時として死者が現れ、ウスバルがメッセンジャーになるのは、
彼の贖罪行為にも見え、作品に幽玄的尊厳を持たらしています。


次第に弱っていく体、
もはや止めることができない、死へのカウントダウン。

家族を守ること、仲間を守ること、、、
死への準備と、必要な身辺整理が、突きつけられる。


妻は、双極性障害(躁状態)を抱えています。

我が子への愛と裏腹に、子供に手を上げてしまい、
理想的母親になれない自分に、苦しんでいる。

そして、親に翻弄され、
体の傷と、心の傷を抱えた子供たち。

仕事仲間もセネガルに強制送還、その妻と子供が取り残され、
自分の家族、周囲の家族も崩壊していく。


さらに、仲間への配慮がアダとなり、多くの命を奪ってしまうことに、、、

自分の能力を活かし、亡くなった人間の魂に赦しを求めるべきところ、
あまりの罪の重さに、それすらできない。



ウスバルにとっては、もっと早くに死んでいた方が楽だったのかもしれません。

病と闘うだけで、充分過酷なのに、
僅か2ヶ月の運命は、容赦なくウスバルを押し潰していきます。

そして最後は、
体も弱り、陽の光さえ眩しくなっていく、、、




人は、生きる時間は限られているのに、
死は、ずっと先のことだと考えてしまいます。

しかし、死を宣告されたとたん、
限られた “生” に向き合わなければならなくなり、
それまで生きてきた無駄な時間を取り戻すべく、彷徨い、煩悶する。

ウスバルの残された人生には、 “業” が存在。

しかし彼は、 “死” と向き合って、初めて生き出します。



この世に生かされた意味を問い、
人生にとって何が大切なのかを、投げかけた本作。

この映画を真摯に受け止めた時、
始めて、生きることの意味が理解でき、そこに光が見えてきます。

人の命を魂として考えるならば、死は “生” の途中にあるもの、、、
そんなラストは、優しい。


ハビエル・バルデムの魂の演技と、
死を見据えた人間の、力強さと、美しさに、
多々、心が震えました。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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  • 絶望的
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