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再会の食卓
2011年2月5日公開

再会の食卓

APART TOGETHER

962011年2月5日公開

shi********

3.0

発展と開発の陰に消えゆく絆。

第二次世界大戦終結後の1946年、中国では毛沢東率いる共産党軍と蒋介石率いる国民党軍の内戦、国共内戦が再開された。 1949年、共産党による中華人民共和国が成立し、国民党軍は台湾へ退去する。 その混乱の際、多くの家族が生き別れとなった。 その台湾から数十年ぶりに帰国した夫。 妻は中国で家庭を築いていた。 妻を連れて台湾に帰りたいと申し出る。 妻の子供たちは当然猛反対なのだが、現在の夫はその申し出を受け入れようとする。 しかしやはり彼の想いも複雑で・・・。 まず特筆したいのが長回し。 家族が揃った食卓、3人の食卓、とにかく長回しの1ショットが目立つ。 その撮り方はもちろん、演技も賞賛に値するが、その緊張感、閉塞感が心地良かったとは言えない。 つまりやはり少々退屈感を得てしまった。 また、時代背景も少々疑問。 帰国事業が開始されたのは80年代末。 しかし本作の時代設定はつい最近。 携帯電話が普及し、リニア高速鉄道が走り、都市はどんどん開発されている。 終戦後50年以上経過してしているわけで、2人の年齢は75~80歳位なのだろうが、それにしては若い。 引き裂かれた遥か過去の愛と、長年培ってきた家族愛と絆。 テーマとしては悪くないが、その葛藤が感情的に表に出ることはほとんどない。 とんでもない申し出を前提にしながらも、お互いに気を遣いながら過ごす。 その想いはやがて食卓で、酒と歌の手を借りてあらわになってゆく。 面白かったのは妻が現在の夫と離婚手続きをしようとするところ。 混乱期に出会った二人はいわゆる事実婚で、正式な夫婦ではなかったのだ。 だから離婚しようにもできない。 そこで2人は離婚をするために正式に結婚をする。 さあめでたく離婚しようと手続きに向かうが・・・。 形式上の手続きなのだが、これが彼らの心にさざ波を起こす。 彼らはどんな決断をするのだろうか・・・。 経済発展と開発に沸く中国。 しかしその陰には、まだ歴史が暗い影を落とす。 だがその時代を生きた人々にとって、それは「歴史」ではなく、「過去」なのだ。 開発によって住居は豪華に、生活は快適になっていくが、失われていくことも多い。 あと何年かすると彼らが自ら語る「過去」も、語り継がれる「歴史」となっていくだろう。 そしてこれから、あらゆる意味で大国となる中国の、新しい「歴史」が作られていく。 それが平和なものであることを願ってやまない。 今後中国の発展が世界の情勢を変え、それは恐らく日本にとって厳しいものになるであろう。 そのあたりは本作内容とはあまり関係ないので、また別の機会で述べることとしよう。

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