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まほろ駅前多田便利軒 (2011)

監督
大森立嗣
  • みたいムービー 290
  • みたログ 2,275

3.54 / 評価:847件

ただ原作をなぞっただけの作品

  • 海の雫 さん
  • 2011年4月23日 23時33分
  • 閲覧数 1750
  • 役立ち度 61
    • 総合評価
    • ★★★★★

原作の小説を読みました。
その原作が映画化されると知って、とても楽しみにしていました。

原作の映画化には二つの切り口があると思います。
? 限られた時間の中で原作の世界観に迫り、映像として切り取る。
? 原作はあくまで素材として、監督自身の解釈による新しい作品を作る。

残念ながらこの映画はそのどちらにもなっていないと感じます。

? の場合、この作品の核は主人公・多田と同級生である業天の関係性のはずです。
(?の場合は、私は映画監督では無いので省きます。)

ぐうたらで、無気力で、不可解な業天と言う人物。
何故主人公が業天を鬱陶しく思いながら、彼の存在に苛立ちながら
手放す事が出来ないのか。
何故主人公は自分の過去を業天に告白した後、彼を追い出してしまったのか。
そして何故追い出した業天の存在をまたも求めたかです。

業天は女性に対して性的欲求もほとんど無く、時にゾッとするほどの暴力性を示します。
それはつまり自分自身の命に対する希薄さであり、
自分の存在に意味など無いと感じているからでしょう。
そしてそれは、現在の主人公の姿と重なります。
主人公もまた自分の過去に囚われそこから抜け出せずに、人との関係性を築けず、孤独でいる事を望み、ただ無意味に日々を送っています。

主人公が業天を必要とするのは、人は自分を必要とする人間の存在を必要とするからです。
業天が主人公と居たがるのも同じ事です。

そう、原作に登場する人物は皆、(子供も大人も)気を抜けば奈落に落ちて行くその一歩手前で、夜が明けるのが何時かも不確かなまま、夜の暗闇の中で耐えている人達。
原作はほのぼのとした作品などではありません。
とても重い作品、それをユーモアで包み込んでいるだけです。

原作のストーリーだけ丁寧になぞっても、原作の世界観に迫れるはずなど無いです。
そんな作り方では、観る人の心を震わせる事など出来るはずもありません。

いっそ監督自身の視点で切り取った新しい「まほろ駅前多田便利軒」
が観たかったと思います。
原作は秀逸だけど映画は平凡だと思いました。

尚、上記の感想は私個人の感想です。
劇場で出演者の熱演に涙した人もおられたという事を記しておきます。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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