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まほろ駅前多田便利軒 (2011)

監督
大森立嗣
  • みたいムービー 284
  • みたログ 2,265

3.55 / 評価:837件

不器用でも真正面から

  • 黒いチューリップ さん
  • 2011年4月26日 19時48分
  • 閲覧数 685
  • 役立ち度 54
    • 総合評価
    • ★★★★★

こういう世界観のストーリーは好きだ。

何年も前に原作を読み、その面白さに
一気にファンになって、これが映画化されたら
必ず観に行こうと決めていた。

主役の二人は、原作から個人的に想像していた
人物像とあまり重なっていなかったので
期待と不安が半々な思いで観ていたが
違和感は最初の方だけで、途中からはこの二人が
多田と行天なんだと受け入れて観ることができた。

この映画は「優しさ」や「人間関係」に
ついての話だと感じた。
「優しさ」には色んな形があるだろうが、
昔からそうなのか最近になって特になのかは
分からないけれど、傷つけない、もしくは
同情に近いものが一番の優しさだと思われているように
感じていて少しイライラしていた。
もちろんそれが必要な場合もあることは承知の上で。

だけど、この映画の中にある多田と行天の
「優しさ」はその類のものではない。
二人は子供と話しているだけで不審に思われる
一般とか普通と言われる場所から一歩引いたような所で
一見ダラダラとメリハリなく生きているよう見える。
でも実は、協調するだけの併走的な優しさではなく
不器用だけど真正面からぶつかる優しさで、
本気で生きている。

それに気づけば二人の意味不明な言動の
輪郭が見えてくる。
ぬるま湯に浸かっているような誤魔化しの
キレイ事ではなく、世の中の不条理も
人間のズルさも弱さも全て受け入れた上での
厳しさの中にある温かい優しさ。

どのエピソードでも意味不明な言動の中に
そういう優しさがある。
初めはハチャメチャに思えるが、いつの間にか
そこに二人の人間性が見えてくる。
ストーリーが進むにつれ、それが二人の
人物としての輪郭になる。

それは間違いなく本気で生きている人間のもの。
無縁社会で人間関係が希薄になっていると言われる中で
コミュニケーションとやたら叫んではいるが、
そういう義務的な流れが逆に八百長のような
人間関係を生んでいるような気がする。

だから、多田と行天のように不器用でもいいから
本気で人間と関わることが必要だと思える。
自分もそうだけど、人間関係というのは
煩わしいと思うことが多々あるし
きっと面倒なものなんだろう。

本気で関われば誰かを傷つけるかもしれない。
更に人間なんて知らないところで気づかぬうちに
誰かを傷つけてるもので、それはつまり自分も
傷つくことがあるということ。
だから面倒に思うものだ。
でも人間関係なんてそれが自然であって
そこに人間関係本来の温かさや繋がりが
あるように思う。

傷つけ合えばいい、ということではなく、
傷つけること傷つくことを恐れず、併走する
人間関係ではなく真正面から本気で向き合うことが
本物の人間関係であって繋がりなんだと。
そこに本当の「優しさ」があるんだと。
今の世の中にはこういう優しさが必要だと思えた。

こういったものを軸に、クスッと笑わせる要素もあり
楽しめる映画だと思う。
ただ、原作のファンの方も多く観ると思うので
原作を基準に評価してはいけないことを承知の上で
少し感想を。

個人的に原作を10ページずつ飛ばしながら
読んでいるような感覚だった。
全体を薄めすぎて輪郭がボヤけてしまったような。
場面X2の多田と行天の距離感を会話のテンポで
表現されたりと二人の輪郭が出来上がっていく感じは
良かったと思うけど、エピソードの輪郭がボヤけて
感じるので他との人間関係もボヤけてしまった感じ。

だからせっかく核心をつく二人の
「誰かに必要とされるってことは、 誰かの希望になるってことだ」
「与えてもらえなかったものを 誰かに与えてやることはできる」
などの言葉の唐突感が否めず少し残念。
もう少し全体の輪郭がしっかりしてれば
インパクトもあってもっとス~っと
入ってくる言葉のはずだと思うので
ややもったいなく感じた。

その辺りは言葉ではなく画で表現しようとした気もするので
その点は無責任だけど好みの問題として受け取っていただければ。

最後に、原作未読の方には読むことをオススメします。
映画に入らなかった部分、ボヤけてしまった部分など
全部ハッキリすれば、原作最後の言葉で
もっと胸に迫るものがあるはず。
よろしければ「まほろ駅前番外地」も。
何となく続編もありそうな気がするので。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

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  • 切ない
  • かっこいい
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