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死にゆく妻との旅路 (2010)

監督
塙幸成
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  • みたログ 334

3.59 / 評価:155件

残酷なまでの究極の純愛

  • 冬の陽炎 さん
  • 2011年2月27日 13時28分
  • 役立ち度 36
    • 総合評価
    • ★★★★★

 初日舞台挨拶を見て来ました。映画上映前の舞台挨拶だったのですが、主演の三浦友和さんはネタがばれないように「この映画は終盤まで全くと言っていいほど動きがありません。淡々とした場面が続きます。それでもこれが映画として成立するのは、この物語が実話だからなのです」と語られておりました。
 実はこの友和さんの言葉にこの映画の持つ大きな意味があります。これは真実の物語なのです。
 1999年12月、一人の男が逮捕された。罪状は「保護責任者遺棄致死」。男は末期がんの妻をワゴン車に乗せて、9ヶ月間日本中を彷徨っていた。
 病院に入ると離れ離れになる。それを拒み、夫と二人でいることを選択する妻。その妻の気持ちを察し、一緒に居続ける夫。この夫の選択は正しいのか?間違っているのか?人によって意見が分かれると思います。病院へ送り、妻の苦しみを少しでも解放して別れのときを向かえるべきか?それとも残されたほんの僅かな時間を1分1秒でも愛する人のそばにいるべきなのか?主人公・清水久典は後者を選びました。これは間違った方を選択してしまったのかもしれない。ですが彼にとっては、それが「正しい」ことだったと言えるのかもしれません。彼と妻・ひとみとの愛。その愛のかたちが「一緒にいる」ということだったのです。愛のかたちは人それぞれ違うと思います。実在の清水久典氏は逮捕後、こう言っていました「安らかな顔だった」。この言葉が、二人の愛の選択が間違いでは無かったことを証明しているように感じました。おそらく二人には後悔の気持など無かったと思います。
 映画の9割以上を三浦友和さんと石田ゆり子さんの二人芝居で構成されております。お二人の演技が本当に素晴らしいです。観ていて感動いたしました。温かく、優しく、人を愛することとは何なのか教えられたように感じました。石田ゆり子さんは独身で妻になる人間の気持ちを演じるのは難しかったとスピーチされておりましたが、スクリーンに映し出される演技はまさしく夫を心の底から愛する妻の姿でした。
 この物語はあまりにも残酷です。救いがありません。とても悲しい作品です。ちょっと人に薦めるのは難しいかもしれません。でも、観終わったとき、心に温かさも感じることが出来ました。残酷な世界の中に存在する究極の純愛。その愛の美しさが僅かですが気持ちを和らげてくれたように思いました。
 友和さんは舞台挨拶の最後にこう話していらっしゃいました。「この映画はぜひご夫婦でご覧になってもらいたい。いなければ恋人でもいいです。とにかく愛する人と一緒に観てください」と。

詳細評価

物語
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音楽

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