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八日目の蝉 (2011)

監督
成島出
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3.92 / 評価:3959件

それぞれの女の深い想い

  • pen******** さん
  • 2011年4月6日 11時54分
  • 閲覧数 965
  • 役立ち度 106
    • 総合評価
    • ★★★★★

心に深い闇を抱えた女性4人が描かれています。

不倫の末、不倫相手とその妻の間にできた女の子を連れ去って育てる女。
夫の不倫相手に自分の子をさらわれてしまった女。
父の不倫相手にさらわれ、幼い頃に実家へ連れ戻された女。
周りと隔絶された、女ばかりの偏った環境で育てられた女。

映画は永作博美扮する女・希和子が不倫相手の家庭から生後4ヶ月の赤ちゃんを連れ去り、数年間を放浪しながら過ごす様子と、その連れ去られた女の子・恵理菜(井上真央)が成人してからの様子が交互に描かれる。

主にこの2人が中心に描かれているけれど、子供をさらわれ、やがて数年たって戻って来た我が子とどう接していいか分からず苦悩する母親(森口瑤子)と、成人した恵理菜にライターと称して接触する女・千草(小池栄子)がそこに絡み、それぞれが心の内に抱える深い闇をえぐる様に描き出している。

みんな普通じゃあり得ない環境なので、実のところ誰に感情移入する訳でもなけれど、はっきりと誰かを悪者として描いているわけでもないので、それぞれの立場に立ちやすく、気持ちがちょっとずつ分かってすごく切ない。

それぞれの女が感情を吐露する場面で、それぞれ泣かされた。

数年ぶりにやっと連れ戻したのに、地方のなまりでしゃべり、「知らないおじさんとおばさんの家」から逃げ出そうとする幼い我が子に、つい大きな声を上げてわめき立ててしまう実の母親。
幼い頃から女性ばかりの閉鎖された空間で育ち、やがて世間に放り出されても、人とどうやって接したらいいのか分からない女。
やがてはこの子の手を放す日が来ると分かっていても、その日を1日でも先に延ばそうと必死で、息を潜めて、幼い女の子の手をしっかり握って逃亡生活を続ける女。
複雑過ぎる境遇から、人の愛し方が分からず、自分の生き方を見失ったまま、優しくしてくれた男と不倫して身ごもり、葛藤する女。

間が長い。
でもそれが効果的で、セリフが無いシーンがこちらを引き付け、言葉にならない想いを想像させる。

後半はロードムービーっぽくなって来て、恵理菜が千草と一緒に、さらわれて逃亡中に滞在した場所を巡りながら少しずつ記憶を取り戻す様子と、過去の逃亡中の様子がフラッシュバックの様に描かれてシンクロして行く。
その末に、まだはっきりとした形にはなっていないけれど、一筋の光が見える結末に救われた。

4人の女優さんそれぞれがすごく自分の役に入り込んでいて、素晴らしかった。
永作博美は泣くのをこらえたり、無理して笑ったりと言う抑えた演技が光った。
森口瑤子は対照的に、憎々しい迄に感情を露わにして、全身で人にぶつける激しい演技がすさまじさを感じさせた。
小池栄子は初めは正体の分からない、ちょっと変わった女をとても上手く演っていて、特に自身の境遇をさらすシーンが良かった。
そして井上真央が、笑顔を封印し、ちょっとした表情の変化で複雑な役を見事に演じていた。

原作もドラマも未読なのせいか、違和感無くまとまっている様に思いました。
泣き過ぎてマスクも涙でびしょ濡れになり、エンドロール中に鼻をかまなきゃいけませんでした(^_^;)。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 悲しい
  • 知的
  • 切ない
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