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戦火のナージャ
2011年4月16日公開

戦火のナージャ

UTOMLYONNYE SOLNTSEM 2/BURNT BY THE SUN 2: EXODUS

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chm********

4.0

ミハルコフ監督の思い入れは分かるが?

アカデミー外国語映画賞受賞作「太陽に灼かれて」の続編として製作された本作であるが、内容としては以下のとおりの感想です。 <プライベートライアンへの対応軸として製作したようです> スピルバーグ監督作「プライベートライアン」を鑑賞したニキータ・ミハルコフ監督は、同作品が「アメリカ」サイドに偏ったものである事をかなり意識しており、「第二次世界大戦の終結は、アメリカをはじめとした西側諸国のみの貢献だけではなく、ソ連の多大な犠牲の上で終結されたものである」という自負から、ソ連(現在はロシア)の過酷な犠牲の現状を描写した映画が完成されました。この作品はクレムリン宮殿で6000人参加の試写会を行っています。この規模にふさわしい壮大な内容であり、爆撃シーンなどは抜群の出来に仕上がっています。 ※第二次大戦(独ソ戦)の犠牲者は、戦死者・戦病死者数では「ソ連兵約1128万人、ドイツ兵約500万人」、民間人を加えると「ソ連約2000万人~3000万人、ドイツ約600万人~1000万人」となっている。 <ミハルコフ監督の特徴はよく出ています> ・スターリン批判精神は十分発揮・・スターリンの肖像画をもじったケーキに顔をうずめるシーンなどがあります。 ・民間人も多大な犠牲になっている・・・ドイツ兵が、ソ連の民間人を見境なく殺害するシーンもてんこ盛り状態です。 ・キリスト教はソ連当局弾圧の中でも息づいていた・・司祭が洗礼を授けるシーンなどが登場しています。 などなど、第二次大戦中のソ連の現状を様々なエピソードでつづっています。 <映画内容としては「ロシア国内向け」の要素が強い> ・訴えてくるメッセージは大変よくわかるのですが、日本人として観た場合、「?」と感じてしまう場面が多くあったように思います。 ・第二次大戦の記憶が薄れつつあるロシア国内向けの「啓発映画」として、または、「ロシア人のメンタリズム」を理解するうえでは大変参考になる映画だと思います。 <監督の思い入れは分かるが・・・> ・「プライベートライアン」はスピルバーグ監督が第二次大戦の終結には、アメリカ軍人の多大な犠牲の上に成り立っているメッセージ映画ではありましたが、日本人にとっても共感ができる内容であったと思います。それに対し、本作については、ソ連の犠牲の上に第二次大戦が終結した事は理解できますが、日本人に対するメッセージとしては、「あと一歩」という感じがしました。だが映画自体は大変優れたものであることは間違いいありません。 (2011.5.5 シネスイッチ銀座にて鑑賞)

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