レビュー一覧に戻る
戦火のナージャ
2011年4月16日公開

戦火のナージャ

UTOMLYONNYE SOLNTSEM 2/BURNT BY THE SUN 2: EXODUS

1502011年4月16日公開

シャオフー

3.0

【マレーの虎】の人にちょっと重なりました

本作の主人公は、邦題となった「戦火のナージャ」の父親である “革命の英雄”アレクセイ・コトフ元大佐です。 架空の人物なのかは判りませんが、自国で有名な軍人を脚色し、 監督自らが主演するスタイルが、あの、マイク・ミズノ監督の 「シベリア超特急」を想起させます。作品の質こそ違いますが(笑) 創作の原動力となるものは同じなのかもしれないなぁと思います。 かつてニキータ・ミハルコフ監督が撮った「太陽に灼かれて」の続編 のようです。私は公開当時に観ていたものの、何せ16年前のことで ほとんど覚えていません。―粛清の嵐吹き荒れる1930年代後半、 黒い感情に乱れたドミートリーの策略によってコトフ大佐が 失脚させられる・・・というところまでを描いていた様子。 (あらすじを読んでようやく思い出す始末) 本作では、大きく分けて二つの話が交錯します。 ・1943年、大佐となりKGBに所属するドミートリーが、  スターリンの命により、処刑を逃れて生き延びている  噂のあるコトフを追跡する。 ・1941年6月、ドイツが協定を破りソ連に侵攻。政治犯として  強制収容所にいたコトフは戦時の混乱に乗じ逃亡する。  同時期に、ドミートリーの保護によって“犯罪者の娘”としての  難を逃れていたナージャは、父が生存していることを知ってしまう。  (ドミートリーの若き日の恋人であったコトフの妻も匿われている) この設定を理解したのは本編の後半くらいからです(笑)。 陽光きらめく庭園を背景に衝撃的な“スターリン・ケーキでの襲撃” シーンが冒頭にでてきたことで、あんなことして!コトフは絶対に 生き残れまいと思い込んでしまい、1941年の生存シーンに 結びつけることができなかったため、頭の中で時系列が混乱して しまったのです。「太陽に灼かれて」ではドラマ部分がしっかりと 構成されていたように思いますが、今回は抒情的な描写はあまり 印象に残らず、終始戦闘状態に引きずられた感があります。 人の生き死にを偶発的・奇蹟的な事象で展開させるところが 多すぎた気もしますが、スターリン政権の宗教迫害の世にあって 司祭との出会いから初めて信仰を得て、自分の生きる道を悟る ようになったナージャの存在感は際立ちました。 また、「プライベート・ライアン」に触発されたということで、 白塵煙る雪原で、重々しいドイツ戦車が兵士の肉体を蹂躙する さまを容赦なく撮っており、戦争映画としてみたときには 真実味を感じさせる映像に仕上がっています。 父と娘が互いの存在を求める旅路に果ては来るのか、 ドミートリーの執念が、恩讐を越えて昇華することはあるのか―。 次回作もすでに制作に入っているようなので気長に待っています。 ・・・が、オレグ・メンシコフがおじさんになりすぎないうちに また文芸ドラマ路線に戻ってくれるといいんだけど~。(ファンの要望)

閲覧数265