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小川の辺
2011年7月2日公開

小川の辺

1042011年7月2日公開

vaw********

2.0

ネタバレもっと人間ドラマで魅せてくれないと!

試写会で観ました。 「藤沢周平原作の短編小説を映画化した感動作」と 紹介されてますが、これではほとんど感動できません。 なぜなら人間が描けてないからです。 原作は読んでません。 短編なので映画版は話を膨らませているとは思うのですが であるならばもっと人間描写に力を入れてほしかった。 大きな盛り上がりを見せることもなく 平坦に話が進んでいきます。 シーンとシーンのブツ切れが気になり ストーリーテリングがあまりうまくない。 朔之助は佐久間の上意討ちの命を受け彼を捜すわけですが、 佐久間は悪人でもなんでもないのに朔之助は彼の命を奪うことに 少しも苦悩する様子を見せません。 ましてや妹の夫であり、過去に稽古で剣を交えた 友人的な仲であるにもかかわらず、です。 あまりにもアッケラカンと彼を斬ってしまうので 観てるこっちは唖然としました。 そこに目頭を熱くさせるドラマの 1つや2つぐらいあっても良かったのに・・・・。 出演者による殺陣はしっかりとしてたのですが カメラワークやカット割りも平凡なので、 殺陣のカッコよさや凄さが画面から伝わってこない。 そして夫を兄に殺された妹は、兄に剣を向けるわけですが、 そこにも胸を震わすようなドラマ的描写は皆無で、 妹は本当は朔之助に対して愛は全くなかったのではないか、 とすら思います。 実際、嫁入りする前日に 新蔵(勝地涼)に迷いを見せていますし、 藩に追われる身の夫婦生活は決して幸せそうじゃありません。 むしろラストシーンは兄に夫を斬ってもらって 感謝しているような安堵の表情すら見せます。 そう捉えてしまうと、 物語の根幹を崩しかねないことになります。 菊地凛子の気の抜けた演技といい クライマックスも恐ろしいぐらいに盛り上がりない。 実の妹を斬ってしまうかもしれないのに 朔之助の両親や妻が苦悩するといった描写も 大してなく、実に物足りません。 ただ、妻役の尾野真千子はセリフが少ないながらも 透明感のある演技で存在感を出していました。 山形の美しい山林でロケをした映像は確かに見ものですが 私は自然美を堪能したいわけじゃない。 そこで繰り広げられる人間のドラマが観たいのです。 藤沢周平原作の短編小説に沿った作りなら これで満足という人もいるとは思いますが、 映画ファンとしてはすごい薄味な作品です。 もっといえばスペシャルドラマとかでやれば良かった。 映画館で作品を見せるからには 映画としての魅力を注ぎ込む努力をしてほしい。 時代劇としての材料はすごく良いのに それをあまり活かせてなかったのは残念です。

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