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イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ
2011年7月16日公開

イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ

EXIT THROUGH THE GIFT SHOP

902011年7月16日公開

bakeneko

5.0

ネタバレミイラ撮りがミイラの大将に…

社会風刺的な創作物を無許可&ゲリラ的に街中に出現させるーポップ&ストリートアートの覆面芸術家として活動するバンクシーが、自分を含めたストリートポップアーチスト達を記録していた男:ティエリー・グエッタの行状の顛末を彼と彼の妻が撮った膨大な資料を編集して語ってゆく異色ドキュメンタリーで、バンクシーらストリートアーチストの創作活動の詳細のみならず、次第に世間に認知され現在では高値がついている彼らの作品に対する大衆の審美眼についても痛烈な批判が込められた映画となっています。 LA で輸入服飾業を営むフランス移民のティエリー・グエッタはビデオカメラで生活を記録するのが趣味な男だった。フランスに里帰りした際に無断で街中にインベーダーゲームのキャラのタイル作品を張り付ける親戚を手伝ったのが縁で、ストリートアーチストたちと親交を持った彼は、彼らの製作の様子や街中に出現させたアート作品に対する大衆の反応をビデオに収めてゆく。やがて、ストリートアートの大物バンクシーがLAで作品を発表するのを手伝ったのが縁で、バンクシーの信頼を得たティエリーはそれまで彼が撮り溜めた映像を凝縮してバンクシーに見せるが、これが下手なゴダール作品の様なトンデモない出来栄えで、評価に窮したバンクシーが苦し紛れに言った―“君は撮るよりも創る方により才能があるのでは…”を真に受けて個展に挑戦する。旧知のアーチストたちの下手な模倣の集積である作品展はガラクタの寄せ集めのようだったが、意外なことに大衆に大受けして、彼は一躍ポップアート会の巨匠となる…という、本当にあった奇譚をシニカル&ユーモラスに見せてゆきます。 無断で街中にアート?を出現させる方法の一部始終も興味津々ですが、衝動的に作品を置いて行く一匹狼的なイメージのあるバンクシーが、実は沢山のスタッフを抱えてチームで創作物を準備&ゲリラ発表していることや、(LAで個展を発表するなど)顔こそ見せないけれど公人として大衆に姿を見せていることにも驚かされます(覆面レスラーみたいなものかな?)。 また、偽物が本物たちを凌駕する評価と人気を得る―「国士無双」(=剣豪を騙っていた偽物が本物を負かしてしまう)的な展開では、アンディ・ウォホールまで遡る“ポップアート”の芸術としての真贋性までが揺るがされていて、才能の無い服屋の親父が実際にマドンナのアルバムジャケットをデザインするほどに成り上がる―大衆文化の軽薄性も皮肉っています。 全てが本物&事実であることに驚かされるドキュメンタリーで、ディズニーランドの警備員は私服であることも判りますよ。 ねたばれ? 1、エンドタイトルより―“No elephant was harmed in this film”―嘘だね!(by体中にペイントされたゾウさん) 2、2019年に東京に出現したバンクシーのオブジェは偽物だな!

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