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軽蔑 (2011)

監督
廣木隆一
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  • みたログ 564

2.40 / 評価:304件

怖い、でも考えさせられる

  • rcd***** さん
  • 2018年3月9日 22時05分
  • 閲覧数 2826
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

他の人はどうなのか分からないけど、個人的に暴力ものは苦手です。
世の中にこんなにヤクザ映画や不良が暴れまわる映画があふれかえっていて、結構有名な人や人気のある役者さんが出まくっているのが不思議です。
これだけ作られるのだから見る人も相当いるのでしょう。

この作品も、長いこと見るのを拒否し続けてきたもののひとつでした。
とにかく主演の男優の扮装が怖い。ただでさえ顔が怖い高良健吾。
細眉に茶髪に中途半端な坊主頭で、変に不良っぽくおしゃれ。
ブルゾンちえみみたいな頭と化粧、胸元を露わに開いた黒い革の服の鈴木杏。
彼女がストリッパーの役というのが当時どうしても結びつかず、見た目も似つかわしくなく、だからこそずっと気になってはいました。

「その夜の侍」の山田孝之がトラウマレベルで怖かったので、無理だったら途中で止める気持ちだったのですが、結局のところ、さほど怖くはなく、平日の夜中過ぎまで一気に観られました。
自分の常識や先入観を裏切られ、それが正当な疑問なのかこちらの解釈ミスなのか、判断がつかない点が多く、観てからほぼ24時間経った今でも混乱中というのが正直な気持ちです。

主人公のカズは確かに、借金をチャラにする代わりに真知子の店を襲う、勤務先の上司に暴力をふるう、父親を刺そうとする、強盗・殺人に手は染める、と暴力描写満載の男なのですが、見た目が細い男の子であり、声もそんなに大きくなく、女性に対してはやさしく、真面目に働いている時は要領の良い、天才肌の子という印象を受けます。
育ちが悪いとか学が足りないとか、そんな感じは雰囲気や言葉からは全く伝わって来ません。
あまり強そうではなく、たまたま悪ぶってやってきて運よく回してきただけのような、小者という感じがしますが、ここのところは、彼は実は田舎の金持ちの御曹司だったという点で少しは理解できます。

お金はあるけど働かない、外で他人に使われたことがない父親。
この変にあか抜けない、プライドが高いんだか低いんだか分からないみっともない紳士は、息子に身元のしっかりした娘をあてがいたいようなのですが、それにしては、なんでその息子の学業なり卒業後の進路なりを厳しく監督しなかったのか、そこが不可解です。
例えば明治~昭和初期の、お金持ちの一人息子が放蕩三昧で身を持ち崩して、学校は退学になるわ勤め先はクビになるわ、それでも見捨てずに「所帯を持ったらしっかりするだろう」とばかりに無理やり新居付きで結婚させるのに似た、あまりにも古い価値観でやってきたのでしょうか。

このカズの造形ですが、昔通っていた学校に、こういう育ちの良い不良もどきはごろごろいました。でも、もどきはもどき。
皆、卒業後、要領良く給料の良い会社に入ってぬくぬくと暮らしているのでしょう。
彼らと違うのは、カズは、完全にスポイルされ尽くした自滅型の人間に育ってしまっていたということ。
父親からの愛情はなく、母親は本人と本気で向き合わず過保護に接するだけ、贅沢ばかりさせてもらっていて、友人や知り合いからは(おそらくルックスのおかげで)ちやほやされまくったせいでストレスの持っていき場に困り、変な主張をするようになったのでしょう。

もうひとつ腑に落ちない点は、鈴木杏の外見でしょうか。
子役のイメージが強い彼女ですが、遠くから見ると結構手足が細くて、すらっとしているのに近くで見ると顔が大きく、骨太に見えてしまいます。
高良健吾と並んでも決して大きな顔ではないのに、ごつい。
綺麗な顔なのに、なんだか華がない。
日本の若い女の子にしてはそこそこ胸があるのに、色気がない。
つまりは、キャラが合ってない。
彼女の魅力は、「花とアリス」系の女の子っぽさにあるのでしょう。
有り余る演技力があればなんとかなるのかもしれませんが、そこまで追いついてない気がします。
恵まれない境遇の危ない街の水商売の女にしては、陰がないし健康的過ぎるし清潔感がありすぎます。
体も全体的に幼児体型。
髪型にしたって、30代の若くしてやんちゃな子供達を育てる主婦みたいに見えます。
上手いか下手かで言えば、上手いのですが、これは完全なミスキャストでしょう。
どう見たって店の売り上げナンバー1ではないし、大森南朋から横取りされそうな色っぽい美女でもない。

また、どうしても看過できないのが、そのテーマ。
コピーに、「世界は二人を、愛さなかった。」とあり、世間に認めてもらえず引き裂かれる純愛を謳っていますが、全く理解不能です。
世間に追い詰められているというメランコリックさよりも、ただただ愚かなカズが自分で自分を追い詰めていって、母親、祖父の愛人、真知子の女達がそれにも係わらず聖母のように彼を受け入れ甘やかし、駄目にしていくという、そんな愚かな構図しか目に入りませんでした。
女の愛がいかに自己中心的か。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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  • 恐怖
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