解説
遺伝子の突然変異で超人的パワーが覚せいしたミュータントの苦悩と冒険を描いたSFアクションムービー。今作では、X-MENの起源に焦点を絞り、ミュータント第一世代のドラマを壮絶なVFXアクションと衝撃のストーリーで活写する。『キック・アス』のマシュー・ヴォーンが監督を務めるほか、シリーズの立役者ブライアン・シンガーが製作として本作に復帰。『ウォンテッド』のジェームズ・マカヴォイ、『イングロリアス・バスターズ』のマイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、ケヴィン・ベーコンら実力派キャストの激闘に注目。
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あらすじ
裕福な家に生まれ、名門大学に通うチャールズ(ジェームズ・マカヴォイ)は強力なテレパシーを使うことができるミュータントだったが、自分と同じような能力を持つ者の存在に気付き始めていた。やがて強力な磁力を発生させ、金属を自在に操ることのできるエリック(マイケル・ファスベンダー)と出会う。彼らは親友となり、自分たちと同じような若者たちを探し始めるが……。
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映画レポート

「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」ふたりのミュータントの友情と決別を濃密なドラマに昇華させたシリーズ最高傑作
迫害されるミュータントを救うため、最強のテレパスであるプロフェッサーXは人類との平和共存を目指し、磁力を自在に操るマグニートーは人類を滅ぼそうとした。なぜふたりは、目的は同じでも相反する道を選んだのか? 「キック・アス」で異彩を放ったマシュー・ボーン監督は激動の1962年を舞台に、後にプロフェッサーXとなるチャールズと、マグニートーになるエリックが運命的に出会い、互いに認め合って友情を育みながら決別するまでの日々を繊細かつ劇的に描いていく。
チャールズは、子供の頃に孤独なミュータント少女(後のミスティーク)と出会い、彼女を妹のように守ってきた。一方のエリックは、ナチに母親を殺され、復讐を誓ってひとり生き抜いてきた。そんなふたりが、それぞれの立場で悪の化身のような元ナチのミュータントを追って出会う展開が絶妙。“キューバ危機”を違和感なく絡めた息詰まる状況下で、怒りのままに自爆しそうなエリックをチャールズは体を張って止め、哀しみに満ちた心を読んで彼を救おうとし、友情が生まれるのだ。
人の心を操作し、戦闘を回避させようとするチャールズ。武器をねじ曲げ、力を誇示して人を押さえ込もうとするエリック。対照的なふたりの葛藤を軸にミュータントの哀しみやコンプレックスの深さ、ミュータントを恐れ排除しようとする人類の心の狭さや弱さが、ビーストやミスティークの誕生秘話など3部作へつながるエピソードの数々と共にていねいに綴られ、二転三転するクライマックスへと雪崩込む。
ドラマもアクションも濃密で、青春群像を体現する役者たちの演技も素晴らしく、先の3部作が本作の序章に思えてしまう傑作だ。(山口直樹)
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2011年6月9日 更新