イタリア兵の帽子って確かに可愛い!
- bakeneko さん
- 2017年11月14日 20時50分
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フランスの女流作家:ベアトリクス・ベックの実体験を反映した小説:Léon Morin, prêtre:レオン・モラン神父(1952年発表)を、ジャン・ピエール・メルヴィルが丹念に映像化したもので、南フランスの田舎街で戦中から戦後にかけての、若い未亡人と神父の宗教談義と森羅万象への意見の交換を理知的&情緒的にスケッチしながら、2人の心の触れ合いも活写してゆく“宗教&ヒューマンドラマ”の佳作であります。
一般的には“フィルムノワールの代表的作家”とされているージャン・ピエール・メルヴィルですが、本作の様な“宗教と人間心理の知的探求”や“女性心の機微”を繊細に描きこむことも出来ることで驚かせてくれる作品で、“犯罪映画はちょっと…”という女性の方にお勧めできる上質の心理&知的スケッチ映画であります。
第二次大戦中の1943年のイタリア南仏進駐領域(南仏のイタリアとの国境地域)に住む、ユダヤ系共産主義者の未亡人:エマニエル・リヴァは好奇心から教会の神父に自身の宗教的な疑問をぶつける決心をする。標的に選んだ若い神父:ジャン・ポール・ベルモンドは宗教を盲信するのではなく自分の頭で柔軟に考えることを旨とする論客だった。教会の図書館に通って神父と宗教談義に耽るうちに彼女は神父に対する愛情も感じ始めて…というお話で、戦時中の占領下の生活を描いても、イタリア軍の統治下の暮らしはドイツの占領地域と異なった自由な雰囲気に面食らいますし、ヒロインと神父の関係も心理的&知的絆は強化されて行きますが、世俗的な恋人関係まで深まらないこともユニークな作劇となっています。
キリスト教の意味するものは?
信者に何を求めるのか?―という宗教的な問題から、
お互いの信頼と友情の段階の確認までの進捗を、知的&心理的に明確に描いてゆく明晰な作品で、ヒロインが勤める教育機関での女性同士の友情や葛藤、戦時中の人々の態度とものの考え方、戦後アメリカ軍が進駐してからの様子…と女性庶民の目を通した時代の流れも淡々と客観的に映し出されます。
いつに無く知的な雰囲気を出しているジャン・ポール・ベルモンドの役者としての力量にも感心させられる作品で、神父の名前:Léon(寅次郎ってとこかな~)が、Philippeに比べると庶民風だということもわかりますよ!
ねたばれ?
南の街ではイタリア人もドイツ人も長閑だなあ~(ヒロインの幼い娘と友人になる子供好きのドイツ兵にほっこり♡)
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