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青空どろぼう (2010)

監督
阿武野勝彦
鈴木祐司
  • みたいムービー 9
  • みたログ 20

4.00 / 評価:9件

本編以上に、パンフレットで涙する

  • せぷたか。 さん
  • 2011年7月2日 9時07分
  • 閲覧数 779
  • 役立ち度 9
    • 総合評価
    • ★★★★★

今作、小学校時代に社会の教科書で習った
三大公害のひとつ。四日市ぜんそくを追った
ドキュメンタリー作品です。

名古屋に住んでいたとき、
車、JR、近鉄で何度も、
通りましたが、空気の汚さは感じませんでした。

ただ、予告編と
“青空どろぼう”という
センセーショナルなタイトルに惹かれ、行ってしまいました。

☆彡     ☆彡

『平成ジレンマ』よりも、
製作者の立脚点がハッキリしていて
見やすかったし、主張も伝わってきた!
パンフ立ち読みで済まそうかと思ったけど、
これが優れもので映画の本編以上に泣いちゃいそうに
なったから、やばいやばい、と買っちゃった(苦笑)

◇   ◇

〈 目指せ!名古屋!!〉
〈 屋根より高い木がない 〉


■国策、地域も賛同
 善悪。敵と味方。
 白黒ハッキリさせたほうがわかりやすい。
 
 そんな人間心理も働いていたのでしょうが
 わたしも今作を見るまで、住民側が被害者で、
 国と企業が加害者だと、解釈をしていました。
 
 ところが実際は、
 “名古屋のような大都市になるぞ!”
 
 そんな夢を叶えるべく
 国の提案に地元が乗っかる形で、
 企業を誘致し巨大コンビナートを建設。
 
 そのときは明るい未来を信じて疑わない
 希望の光に満ち溢れており、まさかこのような
 悲劇を起こすことになるとは思ってもみなかったそうです。
 
 作中でキッパリと言い切ります。
 「コンビナートで働いている人は悪くない。恨んでもいない」

■青空どろぼう
 コンビナートの煙突から排出される煤煙の影響で、
 草木が枯れ、地撮・空撮、両映像からも屋根よりも
 高い木は一本も生えていないのが見て取れます。
 
 煙で白みがかった空。
 それでも国の環境規制もあり、
 光化学スモッグ警報が発令されるのは
 1年に数日だけに減っています。
 
 衝撃を受けたのは、
 盗まれたのは青空だけでなく、
 青い海も奪われてしまったこと。
 しかも、こちらは公害発生から
 40年たった今でも魚が一匹もいません。
 
 大学の学者さんが、海底の土を
 採取し測定する場面があるのですが、
 
 「魚は住めません」
 
 こちらもキッパリ言い切ります。
 
 「四日市で採ったと言うと値がつかない」
 
 漁師は沖合に船で乗り出し
 四日市以外の港で水揚げをする。

■記憶の風化
 行政だけでなく、公害を起こした
 企業関係者にも、当時、立ち会った人々が引退。
 
 四日市ぜんそくの実態を知らない人が増えています。
 
 元原告の野田さん、記録をしてきた澤井さんは、
 小学校の生徒たちの前で説明をするだけでなく、
 行政や企業関係者に集まっていただき、発生当時の
 新聞や記録を配って、記憶にとどめるべく説明をします。
 
■まだ続く四日市ぜんそく
 1987年「公害健康被害補償法」
 企業の圧力に屈する形で法が改正され、
 新規の公害病患者認定が廃止されます。
 
 東京や川崎などは、行政が独自の
 支援制度を作ったそうですが、四日市は廃止してしまいます。
 
 驚いたのは
 東海テレビのスタッフが四日市ぜんそくを
 多数発症した地区を最新データを集めるべく
 1件1件家を歩いて訪問してデータ化したこと。
 
 そのうえで、
 四日市市市長に
 「新規患者はいらっしゃるようですが、
  この事実をどのように受け止めますか」と
 直接カメラを持ち込んでインタビューをしている取材力。
 
 「いや、、、初めてこのことを知りましたので・・・。」
 
 素で戸惑う四日市市市長の姿にも
 大丈夫か?と別の意味で驚きました(苦笑)

☆彡     ☆彡

病気を発症しても声高に言えない。
それは家族、もしくは近親者が、
コンビナートになんらかの形で、
関わっているから。立ち上がっても、
プラスはない、マイナスにしかならない。
だから、まず表に出てくることはない。

今年のGWに同じ映画館で鑑賞した、
原発に関する作品でも同じことを言っていました。


正論が、すべて正しいとは限らない
正義が、すべて正義のまま終わるとは限らない


現代にも続く社会構造問題の縮図が
この作品にはつまっていました。

放置していたメディアにも責任はある

これは、阿武野監督、自戒のことば。



全国で順次拡大公開が決定しています。
四日市や公害に関心がないかたにも見て欲しいな。

それは、現在大問題になっている
原発の問題と相通ずるものを感じたから。

“まだありがとうとはいえない”

リーフレットに載ることば。
まだ、四日市ぜんそくは終わっていない。。。
そして、青空は取り戻せていない。。。。。。

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