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極道めし (2011)

監督
前田哲
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3.09 / 評価:186件

美味しさには思い出があります。

原作はコミックで、「極道めし」というので、やくざがメインなのかと思っていましたが、刑務所の受刑者たちが食べ物の思い出を語る話で、荒っぽいところはありませんでした。
刑務所に入っているのですから、皆それなりに悪事を働いていたわけですが、チンケな犯罪で、どことなくゆったりしています。

 物語は単純で、刑務所で同室となった5人が、年末行事として、正月に出されるおせち料理を奪い合うバトルを繰り広げるというだけのものです。
食事くらいしか楽しみがない刑務所の受刑者たちが、年に一度の豪華な食事、おせち料理を懸けて思い出の「めし」についての自慢話で勝負するというものです。
 それまでに出会った料理のなかで最上のものについて皆の前で語り、生唾を飲み込んだ者が最も多い話をしたら勝者となるという戦い。勝者は、各人に配られるおせち料理の中から、それぞれ好きな品を一つずつ奪えるのです。

 最上の料理の話は、料理だけではなく、それを食べるに至った経緯等、それぞれの料理にまつわる話が語られるわけです。
 個々の料理が絶対的に旨いというのではなく、その背景があってこその味というのかもしれません。

ただ、毎年恒例ならば、昨年までの1番はなんだったのか、なんて矛盾を感じたりもします。
そうすると、作り話もあるのかもしれませんが、これもバトルの楽しみのうちかもしれません。

 この映画の主人公は、刑務所の監房に最後に入ってくる栗原(永岡佑)です。
 彼は、チンピラで傷害事件を起こして服役しているのですが、別れた恋人しおり(木村文乃)が忘れられないのです。自業自得なのですが、酷く冷たい別れ方をしてしまったために、出所しても再会は難しいと今更悩んでいます。栗原の最高の思い出の一品は、その彼女が作ってくれたラーメンです。
 栗原は、面会に来たしおりがラーメンの味を尋ねても、何も答えず、無言で面会室を出てしまいます。俺のことは忘れろということなのでしょうか。
 栗原の出所後は、幸福の黄色いハンカチのようなエンディングがあるのかと、ちょっと期待しましたが、探し当てたしおりが営んでいるラーメン屋に入ると、夫も子供もいることがわかり、何も声をかけずに栗原は立ち去ってしまうこととなります。
 切ないけど、今は、こうなのかもしれませんね。ほろ苦い。
 ただ、しおりには、幸せになってもらいたいという気持ちになった人はきっと多かったと思います。演じた木村文乃は本当に健気なんです。

 この映画の主役は永岡佑ですが、麿赤児の存在感が圧倒的です。本作では、最古参の受刑者ということで、同室者から一目置かれた存在で、極道と誤解されています。誤解されるのも当然と思わせる貫禄です。
他にも、勝村政信やでんでんも、いい味を出していました。

キャッチコピーは「忘れられないメシがある。忘れられない人がいる。」
納得です。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 笑える
  • ロマンチック
  • 切ない
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