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少年と自転車 (2011)

LE GAMIN AU VELO/THE KID WITH A BIKE

監督
ジャン=ピエール・ダルデンヌ
リュック・ダルデンヌ
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3.56 / 評価:251件

解説

ベルギーを代表する映画監督ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ兄弟が、第64回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞した感動作。父親に捨てられ、心を閉ざした少年が一人の女性と出会うことにより、傷ついた心を少しずつ開きつつ成長していく姿をとらえる。主人公を新星のトマス・ドレが演じ、彼を温かく見守る女性を、『シスタースマイル ドミニクの歌』のセシル・ドゥ・フランスが好演する。本作で、カンヌ国際映画祭5作品連続主要賞獲得の快挙を成し遂げたダルデンヌ兄弟の実力に舌を巻く。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

児童相談所に預けられたまま12歳になろうとしていた少年シリル(トマス・ドレ)は、いつか父親を見つけて一緒に暮らしたいと願っていた。ある日、彼は美容院を営むサマンサ(セシル・ドゥ・フランス)と出会い、ごく自然に彼女と共に週末を過ごすようになる。二人は自転車に乗って街を走り回り、ようやくシリルの父親(ジェレミー・レニエ)を捜し出すが……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)Christine PLENUS
(C)Christine PLENUS

「少年と自転車」私たちの現実的な生き方そのものが、この映画では問われている

 タイトルからは少年の物語だと誰もが予想するだろう。そして確かに、そこでは少年の物語が語られていく。父親から見捨てられ、「孤児」となるしかなかった少年の。しかしそれは一方で、その少年と関わる大人たちの物語でもある。彼の父親や里親となる女性はもちろん、この映画を見る私たちの物語ということでもある。

 想像を絶する過酷な境遇を生きる少年は、それゆえ極端な行動に出る。それは常に大人たちを困惑させる。大人たちはいらだち、我慢し、怒り、次第にその感情を露にしたりもする。子どもに付き合っているうちに大人たちも子どもになる。あるいは、その子どもっぽさに耐えられず、徹底して大人になろうとする大人もいる。人間の成長とは一体どういうことなのかとも思う。

 とはいえ少年の行動はそれでもどこか常軌を逸している。この世界で生きることの限界の先へと、自らを導いているようでもある。その過酷さ、過剰さにどうやって付き合うか。つまりコントロール不能の「自然」に対してどのように対応して、私たちの社会や人生を作っていくか。そんな私たちの現実的な生き方そのものが、この映画では問われているように思う。自分の人生を生きるのが自分でしかないように、この映画の物語もまた、私たち自身が作り上げていく。そんな映画だ。楽しい映画ではないが、濃密な時間を過ごすことができる。(樋口泰人)

映画.com(外部リンク)

2012年3月22日 更新

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