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アジョシ (2010)

THE MAN FROM NOWHERE

監督
イ・ジョンボム
  • みたいムービー 444
  • みたログ 1,761

4.17 / 評価:1,013件

それでも、今を生きる。

  • ゆみち さん
  • 2011年9月20日 11時02分
  • 閲覧数 2436
  • 役立ち度 80
    • 総合評価
    • ★★★★★

兵役前はこざっぱりとしたヤワで“
いかにも”な韓流スターって印象だったウォンビン。

復帰後初の前作『母なる証明』で、これまでのイメージを大きく覆し、
ちょっと一目置くようになった。そして今回、満を持してのアクション映画。

過去に背負った大きな傷を抱え、現代の片隅でひっそりと暮らす男。
何故か自分にまとわりついてくる隣の家の少女。
煩わしいと思う一方、少女の中にどこか自分にも似た孤独感を感じ邪険にできない。

多くの方が書かれているように、この映画の設定はまさに『レオン』そのもの。
全くもって真新しさはないのかもしれない。
だけど、個人的に私の好きなツボが満載であったし、何よりその“お約束感”に
安心して身を委ねながら、全く飽きる事なく最後まで楽しめた。


私が、韓国映画が面白いと感じる理由は、
その描き方がどれも“トコトン”だからなのだろうな、と思う。

容赦ない“悪”、 容赦ない“孤独”、そして容赦ない“血生臭さ”、

そのどれもが徹底して描かれているものだから、観ていて痛々しくて救いようがない。
ホントにトコトンだ。
非現実の世界を期待して観に行く私達観客にとっては、このゾクゾク感が堪らない。
(逆に、これが実話好きな方だったり、血ものが苦手な方にとっては不快以外の何ものでもないのだろう)

ところが、そんな非日常の世界のはずの作品の中に、
日頃、自分にも体験済みな“現実感”がサラッと描かれる事がある。

確かに、バイオレンス色が強く思わず目を背けたくなる残虐なシーンが多く、
そんな場面には、生きてる間一生遭遇したくはない。

裏切り、たかり、自己保身の極み。

そんな中、タダ気持ち悪いに尽きる悪名高き男達の中にも兄弟愛愛は存在し、
残忍際まりない世界で生きてきた男の中に、フッと生まれる“情”が存在したり。

形は歪んだものかもしれないけれど、異常な世界で暮らす男たちの中に
それらは確かにちゃんとそこに存在していて。

一方で、ごくごく普通に暮らす私達の身近にあるシーンに、
ちょっとした“悪さ”が存在したりするコトだってある。

それをいたずら心として処理するのか、成長に必要な体験だと見守るか、
事の善悪はその大きさではなく、受け止める側によって大きくその意義が変わっていく。

※ただでさえお約束が多いストーリーなので詳細は控えるが、
 駄菓子屋さん?でのお店のおじさんの言葉に、私は泣けた。

こういう事、誰にでも一度や二度あるんじゃないかな。ナイ?
その辺りの経験値で、受け止め方の価値観も当然違ってくることだろう。

とにかくこの映画、ウォンビンがいい。
柔な中にも何かを胸に秘めた、ふと過去を回想し時に見せる目の演技が素晴らしい。


他にも、クライマックスでウォンビンと戦う敵役の俳優さんがいい。
ちょっと水嶋ヒロ似の甘い顔立ち(なハズ)なのに、いつも何処か冷静で
異常な世界の中にいて、普通の感性を持ち合わせている男を自然に演じてみせている。

それでも、最後は自分の在るべき姿、居るべき場所というものを理解していて、
男達はそれに徹する。 


“明日生きる奴は、今を生きる俺に殺される”・・・悩殺。
 嗚呼、これぞ“漢”映画の真骨頂!

最後に、子役の女の子もよかった。
ココロ狭い私は、“子役”という存在が嫌いなのだけど、この子がアジョシに
自分の孤独を訴える時の表情があまりに自然で、グッとこみ上げるものがある。

本当に、韓国の作品は“やり場のない孤独感”を表現するのが上手いなぁと改めて思わされる。



駄菓子屋の叔父さん、ばんそうこう、ネイル・・・。
所々小出しに出されるアイテム。私、こういうのに弱い(涙)

とにかく面白い。

その展開、解っちゃいるけどやっぱいいっ。
というバイオレンス好きには外せない一本、ここに誕生!!

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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