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家族X (2011)

監督
吉田光希
  • みたいムービー 17
  • みたログ 28

2.50 / 評価:8件

アル、腐リユクカゾクノフウケい

  • 絶対の客人 さん
  • 2011年9月27日 0時52分
  • 閲覧数 935
  • 役立ち度 10
    • 総合評価
    • ★★★★★

夫 『健一(田口トモロヲ)』50歳 サラリーマン
妻 『路子(南 果歩)』48歳 専業主婦
息子 『宏明(郭 智博)』22歳 フリーター

橋本家。どこにでもある平凡な家庭だ。


健一は、会社でもあまり必要とされていない窓際族だ。
部下からも慕われず、会社のどこにも居場所がない。

潔癖症の路子は、ランチョンマットからリモコンまで、
いつも決まった位置にないと気がすまない性格だ。

大学卒業後、職に就けなかった宏明は、
人目を避けるように、夜勤のアルバイトを続ける日々。


健一は朝食も食べずに家を出て、退社後も、あえて喫茶店で時間を潰し、深夜に帰宅する。
宏明は夕食前に家を出、早朝に帰宅しても、食卓を素通りして自室へ直行する。
路子が毎日ランチョンマットを決まった位置に並べる食卓には、今日も誰も座らない。

いつしか家族の誰もが、顔も合わせず、すれ違うことすら避けるようになっていた。

ある日路子が、ご近所づきあいでろくに使いもしないウォーターサーバーを購入した。
そんな、常に人目と体裁を気にする母に苛立つ宏明と、妻の言動に何も言えない健一。

ウォーターサーバーは、水を注ぐたびに息苦しそうに泡を産む。

次第に誰も使わなくなったウォーターサーバーのタンクの水は、
いつしか、淀み、濁り、毒々しい色に姿を変え、腐っていた。

そして今日も、誰も座らない食卓のランチョンマットを綺麗に並べる路子。
誰も食べない夕食を、料理本と寸分たがわぬ分量で調理してゆく路子。
誰も観ないテレビのリモコンを、決まったいチニナラベテ…………………………………

ソシテ、壊レ、腐ッテユクカゾク。



恐かった。自分たちの日常に潜む、リアルなホラーだと思った。

とにかく監督の演出が素晴らしい。
ウォーターサーバーのくだりなんかは、特に素晴らしい。

水が腐った原因に言及すれば、誰も寄り付かなくなったリビングの、
いや、家そのものの、流れを止めた淀んだ空気を表してもいる。

もっと別の見方をして、あのウォーターサーバーを家族の一人だと捉えれば、
その水の腐りゆく様は、家族一人ひとりの心が腐ってゆく様を表してもいる。

逆に、引越しの作業に微かな光を見せるシーンも個人的には好きだった。


この作品を撮った『吉田光希』監督は、今作が長編初監督作品らしいが、今後が最も楽しみな監督さんです。

初日舞台挨拶で田口トモロヲさんも言ってましたが、

<29歳にして(現在は30歳)これだけ暗く病んだ映画を撮れる監督はなかなかいない。
  この29年間の人生で、いったい何があったのか、あえて聞かないがとても気になる監督さん>

…らしい。同じく自分もそう思います(笑)



追記

レビュータイトルを(ほぼ)カタカナで構成したのは、
自分が最も尊敬する作家、『重松 清』先生の表現を引用させて頂きました。

ちなみに最後のフウケイのイをひらがなで表記したのは、
作品のラストに、微かな希望が見えたことを表しています。

ただ、<田口トモロヲ>さんは、その表現に何の関係もありません(笑)

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