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ミケランジェロの暗号 (2010)

MEIN BESTER FEIND/MY BEST ENEMY

監督
ヴォルフガング・ムルンベルガー
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3.87 / 評価:270件

機知とユーモアにユダヤ人の尊厳を見る

  • Kurosawapapa さん
  • 2011年12月12日 9時30分
  • 閲覧数 1256
  • 役立ち度 28
    • 総合評価
    • ★★★★★

本作は1938年、ナチスの侵攻で物語は始まります。
オーストリアのウィーンで画廊を営むユダヤ人のカウフマン一家は、ムッソリーニも欲しがるという国宝級絵画、ミケランジェロの「モーセの素描」を密かに所有。
ある日、主人公のヴィクトルは、兄弟同然に育った使用人の息子ルディに、絵の隠し場所を教えてしまいます。
しかし、ナチスに傾倒していたルディは、地位欲しさに密告、
追い詰められた家族は、スイスへの亡命を条件に絵の引き渡しに合意するのですが、、、


本作における「モーセの素描」は実際には存在しませんが、もし見つかれば世紀の大発見になるという設定。
本作では、その絵の魔力が “欲” を生み、人間を変えていく。

そして、
・贋作を作ってのカモフラージュ
・本物の隠し場所
・謎の遺言(ミケランジェロの暗号)、と、
ミステリーの要素をコラージュさせたサスペンスが繰り広げられます。


捕えられそうになった時、ナチス親衛隊になりすます主人公。
それをナチス側が見定める真偽と、絵画の真偽騒動をかけ合わせた脚本は、実に見事。

また、男女の三角関係と、立場が変化したことによる命懸けの駆け引きも目が離せません。


そして、本作の大きな特徴は、緊張感の中にあるユーモア。

脚本を担当したポール・ヘンゲはユダヤ人で、幼少期、ナチスによる迫害を経験、
その経験が本作のベースになっています。

本作の主人公は、単なる犠牲者に留まらず、
機知に富み、優れた機転で、難局を乗り越えていきます。

また、ナチスの弱点、
それは、敵の誰もが、そのまた上官を怖れていることであり、
そこを上手くついた脚本も面白い。

最後のオチも、予想できてしまうような流れですが、
むしろ、そんなライトな感覚が秀逸。
本作は、洒落っ気に満ちた作品でもあります。

簡潔、テンポも良く、音楽のセンスも実にいい。


ナチスを相手に、命を懸けた虚々実々の駆け引きの中に描かれた、
信念、 勇気、 家族愛、 そして、生き抜く力強さ。

シリアスに、
しかしシニカルに、 コミカルに、 インテリジェンスに。


ナチスに迫害されたユダヤ人は、全てを奪われた犠牲者ですが、
決して心まで奪われたわけではない。

どんな逆境でも、民族性と魂は失わないのだという、
プライドと尊厳が滲み出た作品だと思います。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

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  • ロマンチック
  • 不気味
  • 恐怖
  • 勇敢
  • 知的
  • 切ない
  • コミカル
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