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五日市物語 (2011)

監督
小林仁
  • みたいムービー 14
  • みたログ 20

3.25 / 評価:16件

主人公は何を取材に来たんだ?

  • sya***** さん
  • 2012年8月1日 12時28分
  • 閲覧数 1270
  • 役立ち度 11
    • 総合評価
    • ★★★★★

今年の「あきる野映画祭」で再上映した機会に、遅ればせながら初めて観た。
結論を言うと、わざわざお金を払って観るほどのものではなかった。
レビューなどを見ると概ね好評のようだが、おそらくそれは、知ってる風景がスクリーンに映るだけで喜ぶ地元民の好意的な思い入れや贔屓目が多く、作品を正しく評価しているわけでなないだろう。
「五日市物語」というタイトルなのにもかかわらず、この映画からは、今そこに暮らす人々の本当の姿がまるで見えてこない。
15年前に五日市町と秋川市が合併して、あきる野市が誕生した。
主人公は、かつての五日市地区が今どうなっているかをレポートするために初めてその地を訪れた筈だが、何故かそこに暮らす人々の生の声をまったく拾おうとしない。
市の職員に案内されるままに、なんとなくその地の雰囲気に浸って満足してしまうのだ。
それじゃーダメだろうがよー!
実際には、あの合併は地域差を加速させることになってしまったんだ。
秋川駅周辺ばかりが華やかになり、それに反比例するように旧五日市町の西のほうは寂れていくばかりだ。
事実、昨年度で小宮小学校が閉校し、今年度で俺っちの母校戸倉小学校も閉校してしまう。
小学校がなくなるというのはどういうことか?
子供と、その親である若い世代がそこに住まなくなるということだぞ。
つまり、やがてその地域に人が居なくなっちまうということだ。
こうなったのには様々な理由があろうが、合併による地域差の助長も大きく関係しているのは否定のしようがない筈だ。
合併後の五日市がどうなったかを取材に来たのなら、まず最初にそこが気になるだろ、ふつうは。
にも関わらず、主人公はそのことについて取材しないし、この映画はそのことにまるで触れようとしない。
そして主人公の関心は、どうでもいい(と言ったら語弊があるか)登場人物の過去の秘話などに向かってしまう。
なんだこりゃ?
五日市が今どうなってるかを探りに来たんじゃねーのかよ?
この映画で、五日市ならではの見どころと言えば風景のみ。
どこかで観たようなよくある話の骨組みに、五日市の地名と風景をくっ付けただけ。お手軽だね。
そこに暮らす人の姿は見えてこない。
市の職員が映画監督ということで話題にはなったが、この監督には人間を描く力量がないんだと思う。
たぶん、この映画を作るにあたり、地域に住む人たちにさほど取材していないんじゃないか。
しているとしても、ごく表面的なことだろう。
そのことは、この監督の以前の作品からも窺い知れる。
あきる野映画祭で数年前に上映した同監督のドキュメンタリーだ。
地元の川の伝統漁法を一年にわたって取材したという作品だったが、これも「五日市物語」と同じで、漁のやり方は描いているがその漁師さんの日常生活とか家族のことは描かれていなかいので、奥行きが無くて、無駄にだらだらと長いだけだった。
このドキュメンタリーと「五日市物語」の2作でわかるのは、この監督は予定調和の中でしか話を作れない人なんだなということ。
たぶん、自分の思惑どおりにいかない事とはちゃんと向き合えないんだろうな。
まあ、市長が製作総指揮で市職員が監督じゃ、きれい事しか見せられないんだろうけどな。

詳細評価

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