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ミッション:8ミニッツ (2011)

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監督
ダンカン・ジョーンズ
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  • みたログ 4,221

4.04 / 評価:2290件

このラストを用意した監督の素敵

  • バツイチ王子 さん
  • 2011年11月1日 20時43分
  • 閲覧数 2741
  • 役立ち度 60
    • 総合評価
    • ★★★★★

目を覚ますと列車の中にいる男
見知らぬ女性が、違う名で親しげに話しかける
鏡をのぞくと、自分の顔は見知らぬ男
焦っているうちに、列車が爆発する

冒頭から、いきなりこんな調子
何がなんだか、詳しいことは何も判らない
不親切な描写から、主人公を主観的に見せる



徐々に判ってきたこと
彼は、米軍のスティーヴンス大尉
アフガンでの戦闘中に気を失っていたはず

与えられたミッションは
列車爆破事故の手がかりを掴み、新たなテロを防ぐこと
そのために、犠牲者から取り出した意識で作られた仮想世界
選ばれたスティーヴンスは、その8分前の意識に入り込む
ミッション遂行をするまで、繰り返し繰り返し


「月に囚われた男」の監督ダンカン・ジョーンズ
さらに、お気に入りのジェイク・ギレンホール主演
海外での評判も手伝って、それはそれは期待を膨らませた



何でも「月に-」を観たジェイクが、監督にダンカンを推挙したそうだ
デヴィット・ボウイって、ダンカン・ジョーンズの親父なんだって
もう、そう呼んでもいいかもしれない

気に入った要因の一つは、人間描写だ
SF作品ではあるが、設定を生かして描くのはヒューマニティ
サスペンスが主題ではない

だから「映画通ほどダマされる」のキャッチに気取られない方がいい
どんでん返しを売りにする映画では ないから
それにそそられたら不満も溜まりそうだ
何が伏線か、ミスリードか、それは気にせず
ただ、スティーヴンスに自分をシンクロさせて観る方が楽しめる

まさに、彼が見知らぬショーンになるのと同じように



前作「月に-」の主人公サムと、本作のスティーヴンス
極限下での彼らは、基本的に孤独
図らずも問題を抱えたが、境遇を嘆いても変わらない
そう、自ら問題を解決するしかないのだ


そんな共通点を、結びつけるネタが上手かった

I a-m the one and only♪ 

クリスティーナの携帯着メロから流れる曲
チェズニー・ホークス「ザ・ワン・アンド・オンリー」は
「月に囚われた男」で、目覚ましから流れていた
私はただ一人の存在、それはつまり、サムでありスティーヴンスなのだ
前作を見たからわかる、粋な計らいだ



「世界があと1分だったら?」
絶望的な環境で人はどうするのか、すべきなのか
何度も投げかけられた質問が意味深い

前作ではある意味「一人」の話だったが
本作では、複数の登場人物が彼に関わってくる
それは、仮想空間での話であり現実ではない

過去の両親を殺したら自分はどうなる?という 親殺しのパラドックス
それにより異なった展開の世界が同時に存在する パラレル・ワールド
これらが基本設定にあるとすると、わかりやすいだろう

とはいえ、スティーヴンスにとっては現実
何度も同じ「8分間」を繰り返して苦しむ
そして彼自身のアイデンティティまで踏み込んでいく

そんな、張り詰めた緊張感を保ったまま
ラストまで一気に引っ張っていくのは、お見事としかいえない
謎が徐々に明らかに、しかも冗長にも不足にもならない匙加減も上手い


これはキャストの演技も寄与しているだろう

ヴェラ・ファーミガは、相変わらずマリリン・マンソンに似ているが
「マイレージ・マイライフ」の艶っぽさを消しつつ
“こと”に関わった、複雑な心境のグッドウィンを好演

ミシェル・モナハンも、品がよくも即座に伝わる魅力がいい
男なら、彼女を助けたいと思わせられるだろう

しかし、ジェイク・ギレンホールはやはりいい
「ドニーダーコ」からのファンだけど
人懐っこさがあり、極端な個性が出ないナチュラルさがイイ
日本での次回作「ラブ&ドラッグ」は
「ブロークバック・マウンテン」以来のアン・ハサウェイとの共演作、楽しみだ


そして、いかにも賛否や解釈が分かれそうなラスト
それは「月に-」を思い起こさせた
取り様によっては、蛇足とも言え
無くてもいいんじゃないか という意見も一理あり
シニカルに仕上げるなら、無いほうがいいかもしれない

それでも、このラストがオレは好きだ
悲しすぎる男が、わずかながらも報われるからだ

絶望の際で、わずかな希望や可能性に意義を見出す
無駄に終わるかもしれないが、自分のために生きていく
悲しすぎるサムに、スティーブンスに希望があった
彼らの意思が、行動が、無意味にならずに報われる
スティーブンスが劇中で言う、まさに“新バージョン”になった

いいじゃんか、そういう青臭い希望って

そんな愛のあるエピローグを用意してくれたことで
最後まで意思を持って生きることの大切さがちゃんと残った
こういう終わりであったことを、監督に感謝したい

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