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聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実- (2011)

監督
成島出
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3.48 / 評価:944件

ただ美化するのではなく

  • 和製ズィーマン さん
  • 2020年5月7日 23時45分
  • 閲覧数 452
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

山本五十六を主人公にした映画を作ろうとすれば、山本五十六を軸に戦争の歴史やスペクタクル感のある戦闘シーンを描く方法と、これらを脇に追いやって山本五十六の人となりを中心に描く方法があるだろう。
この映画では、山本五十六の甘党ぶりが強調されていたり家庭が登場することなどからして、人となりを中心に描きたかったのであろうが、架空のキャラクターやCGによる戦闘シーンに中途半端な力が割かれていて、何方付かずの総花的作品になってしまった憾みがある。
山本五十六の人となりを描くとして、商業映画として視聴者の共感を得るために、ある程度の美化は止む無しとしても、この映画は些か美化しすぎの嫌いがあるのではないか。
一寸でも戦争の歴史を齧った者であれば、仮令「海軍善玉論者」であっても、山本五十六が決して聖人君子でなかったことは知っている。
作中では、良き家庭人としての山本五十六が強調されていたが、実際には夫人との折り合いが悪く愛人まで囲っている。
負の部分までありのままに描き、視聴者を悲劇のヒーローとしての主人公に肩入れさせるのではなく傍観者の位置に止まらせ、山本五十六という人物についてあれやこれやと視聴者に考えさせるという方法論は採れなかったか。
「日米間の国力差を熟知しているが故に日米開戦に反対しながらも、対米戦争の指揮を執らざるを得なくなってしまった悲劇の名将」という山本五十六像は、すでに過去の諸作品で語りつくされている。
良い言い方なら「もっと新しい視点が欲しかった」、悪い言い方なら「もうそういうのは見飽きた」となってしまう(笑)。
また、この映画には、多くの架空のキャラクターが登場する。
しかし、それぞれが紋切型に過ぎず、存在を上手に活かしていないし、「太平洋戦争70年目の真実」とタイトルに付されているからには、架空人物の乱用は相応しからぬのではなかろうか。
確かに、戦争を待望する小料理屋の客たちは、これまでの映画に殆どなかった視点であるが、セリフがあまりにも紋切型であるし、戦争を煽る新聞社のデスクなどは紋切型を通り越して戯画化に堕している。
牧野少尉という若手パイロットも、存在理由がよく分からない架空人物だ。
ただ、1968年公開の「連合艦隊司令長官 山本五十六」に登場する伊集院大尉のオマージュシーンをやりたかっただけにしか見えない。
確かに、少しでも多くの層に興味を与えるため、若手イケメン俳優たちの起用(そのための架空キャラの設定)や戦闘シーンの挿入、女性視聴者の嫌悪を回避するための山本五十六の家庭人ぶりの強調など、ある程度止むを得ないのかもしれないが、私見としては、先述のように「太平洋戦争70年目の真実」と銘打っていることからしても、もう少しありのままの山本五十六を描けなかったものかと思ってしまう。
主役の役所広司氏が熱演だっただけに惜しまれる。

詳細評価

物語
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