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ヒミズ (2011)

監督
園子温
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3.39 / 評価:1,747件

こういう映画を見たときに思うこと。㊟批判

  • bar***** さん
  • 2019年3月27日 0時41分
  • 閲覧数 929
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

ヒミズ。原作未読です。

内容は昔にあったATG(日本アート・シアター・ギルド)みたいな作品かなと……ようはアングラバイオレンスヒューマニズム。昔っからの伝統なんですよね。この作品はATGに比べるとアングラ感が薄いですけど、バイオレンスは必須項目のように描いているし、何よりその重々しいスタイルは多くのATG作品と似通っています。

昔から日本でまじめな映画を撮りましたっていうと、こういう作品になるんですよね。で、映画批評家大注目っていうお墨付きもある。他のが撮れんのかと思います。ようはこういう下層社会というか、汚くて貧しくてどぎつい怖い話に一定の需要があるんでしょうね。邦画って頭の悪いバカみたいな話か、こういう重すぎる話かの二種類しかないですよね。軽くてまじめな話っていうのがない。まじめっていうとものすごく重くする。そういう表面的な設定からまず入ろうとするのはもうやめてほしいです。

……あくまで個人の印象です。汚い言葉はすみません。ずっと思ってきたことなので。

しかしこの映画は、結構よかったんじゃないかと思います。私が好きなのはラスト。希望に向かっていく感じが良かったですよね。この「希望に向かう」っていうラスト。ほとんどの邦画は描かないで避けているんです。なぜなら、今あるものを受け入れて前に進もう、恥ずかしくてもいいから前に進んでいこう、という感じをどうやっても描けないからですね。恥ずかしくなってどこかで茶化したり、カッコつけて絶望に向かっていったりする。まじめにそこに向き合うことがない。しかしこの映画はまじめに向き合いました。主演の二人も、いい演技していましたよね。ボロボロになりながらも、自分を肯定していこうという、がむしゃらな感じがよくでていたと思います。私好きです。

ただしそれ以外は……昔ながらの間違った伝統を見せ続けられます……下層社会や裏社会を描いて、それでリアルだねっていうのもういい加減やめません? リアルとかヒューマニズムとかの定義おかしいと思いますよ。もちろんですね、こういう社会があるとは思いますよ。でも何べん同じ映画撮るんですかね?? それにそれはリアルの一端でしかないですし、そういう雰囲気や形式を整えただけでリアルっていう評価はおこがましいと思います。私はこういった日本の暗いまじめ映画の伝統って作為がこれでもかってほど入っていると思います。だって、昔っからバイオレンスを見せとけば、あ~これが私の知らない現実なんだ、自分とは違う世界だけどこれが現実なんだな~、って視聴者が思う図式が出来上がっているんですもん。それって自分の知らない世界をありがたがっているだけじゃないですか。そうやって映画製作者はATGのころから偽善ぶってだまし続けているんですよ。馬鹿馬鹿しいにもほどがあります。映画製作者はそこから出て、本当の「リアル」や、本当の「人間」を追い求めていく精神をずっと昔からなくしてしまったんです。伝統や形式などを頭でっかちに議論したり踏襲したりして、それでいい映画を作った気になってるから、いつまでたっても黒澤や小津のような中身のあるしっかりした映画ができないんです。黒澤や小津クラスのを撮りたかったら、形を真似てもダメなんです。伝統なんて壊さなきゃ。人と全く違うものを撮ろうという精神がもっと欲しいところです。

この映画はそういった志向性以外は、役者を中心によくできている方だとは思います。演出も標準レベル。たいていの邦画はこれよりレベルが2個くらい下がるので。まともに見られる数少ない映画の一つです。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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