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マイ・マザー (2009)

J'AI TUE MA MERE/I KILLED MY MOTHER

監督
グザヴィエ・ドラン
  • みたいムービー 90
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3.76 / 評価:202件

解説

『わたしはロランス』で注目を浴びたカナダのケベック出身の新鋭、グザヴィエ・ドランの監督デビュー作にあたるドラマ。母親と2人で暮らす少年が、彼女を愛しながらもその存在を拒否してしまう複雑な感情に悩まされながらも成長する姿を見つめる。グザヴィエが監督と脚本のほか、主人公の少年ユベールを好演してハイティーン特有のいら立ちを見事に体現。親との愛憎という普遍的テーマを鮮烈なタッチで描破し、観る者に言いようのない後味を与える彼の手腕に感嘆してしまう。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

ケベックにある、何の変哲もない町に暮らす17歳の少年ユベール・ミネリ(グザヴィエ・ドラン)。ほかの若者たちと変わらない普通の青春を過ごす彼だったが、二人暮らしを送っている母親との関係に悩んでいた。センスのないセーターや、度重なる小言など、彼女の全てが気に障り、その愛憎が入り混じった感情に振り回されていく。そんな中、ユベールは幼少時代からなじみのある風景で、セント・ローレンス川沿いの土手に座っている母親を見つけたのを機に、ある決意を固める。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2009 MIFILIFILMS INC
(C)2009 MIFILIFILMS INC

「マイ・マザー」19歳にしてすでに洗練されていた独自の視点とセンス

 天才の出現をリアルタイムで目撃する興奮ははかりしれないが、その桁外れの才能を知ったうえで原点に触れると、その興奮はより高まる。「わたしはロランス」で日本にも衝撃を与えたグザビエ・ドランの監督デビュー作「マイ・マザー」は、そんな体験に陶酔させてくれる傑作だ。

 「わたしはロランス」にも母と息子の確執が描かれていたが、ここで描かれるのは“母殺し”。「私は母を殺した」を意味する原題や、母親殺しのサスペンスを予感させるコピー、さらにはモノクロのビデオ映像が不穏な空気をかきたてるなか、10代の頃に誰もが抱く親への嫌悪感を募らせる主人公ユベールは、多感な年頃らしい方法で母親を殺すのだ。

 だがドランは、少年犯罪ドラマではなく、誰もが経験する成長のためのイニシエーション(通過儀礼)を描いた。ゲイであるユベールのキャラクターには多分にドラン自身が反映されているようだが、母親の食べ方や話し方まで癇に障るユベールの態度に、忘れていた自分自身の10代の頃の記憶が蘇って、胸がざわついてしまうはず。

 くすんだ色調の世界の随所に鮮やかな色彩を挿入し、感情の高まりをスローモーションの心象風景で表現する映像&音楽センス。サスペンスフルな空気が“母親殺し”とその結果として気づく母への無意識の愛を際立たせるストーリーテリング。どれもが初監督作にしてすでに洗練されていることだけでも驚きだが、ドランが凄いのは母親の痛みや優しさも描き、19歳ながら若者のひとりよがりで終わらない視点の持ち主だったということ。古(いにしえ)から語り続けられてきた題材を知的で洗練されたスタイルで描き出すドラン。その才能に興奮すること自体も、この作品の醍醐味だ。(杉谷伸子)

映画.com(外部リンク)

2013年11月7日 更新

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