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宇宙兄弟
2012年5月5日公開

宇宙兄弟

1292012年5月5日公開

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1.0

中世(天動説の時代)の美術理論

月面で「空気がないから遠くまで見えすぎる」と言ってるが、月の景色に「遠く」はない。直径が地球の四分の一しかない小さな天体で地平線までの距離も地球より短い。地球では約50キロ先だから、月では約12キロ先。大気圏内でも南カリフォルニアの砂漠地帯などでそれより視程のある場所はたくさんある。アメリカの宇宙飛行士は皆空軍パイロットだが、アメリカ空軍はカリフォルニア出身者が非常に多い。宇宙並みに視界の良い土地に生まれ育った者を宇宙に送り出しているので、いちいちそんな事で騒ぐ者はいないのだ。 ところでレオナルド・ダ・ヴィンチは、空気を半透明の青いガスのように説いたが、現代の航空気象学ではそれは嘘で、大気圏内で視界を遮るのは、オゾン層よりの青色光線や紫外線A、フォッグやヘイズなどとわかっている。単に空気がないからという理由で視程が延びると思うのはダ・ヴィンチと同じ中世の絵描きの考えだ。美術の授業ではいまでもそれを正当化する教員が多いが。 背景を暈すダ・ヴィンチの画法を英語ではエアリアル・パースペクティブ=空中(の光線や水蒸気による)遠近法という。エア・パースペクティブとは言わない。だがイタリア語では空中も空気もアリアで、日本語ではアリア・プロスペッティバを直訳している。だからいまでも中世画家のように、空気の有無で視界が変わると信じてる漫画家がいるのかも。ところでヒビトがそう叫ぶ場面は狭いセット撮影なのを誤魔化すためか遠景のフォーカスを暈していて、せっかくの中世画家らしい台詞が台無し。一体なんのためのカビの生えた台詞だったのか?

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