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ものすごくうるさくて、ありえないほど近い (2011)

EXTREMELY LOUD & INCREDIBLY CLOSE

監督
スティーヴン・ダルドリー
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3.77 / 評価:2,424件

解説

大好きな父親を911のアメリカ同時多発テロで亡くした少年が、父親の残した鍵の謎を探るべくニューヨーク中を奔走する姿を描く感動ドラマ。ジョナサン・サフラン・フォアのベストセラー小説を、トム・ハンクスとサンドラ・ブロックという二人のアカデミー賞受賞俳優の共演で映画化。『リトル・ダンサー』『愛を読むひと』の名匠、スティーヴン・ダルドリーが監督を務める。鍵穴探しの旅で父の死を乗り越え、力強く成長する少年には、映画初出演のトーマス・ホーンを抜てき。ダルドリー監督の繊細な演出と俳優陣の演技が感動を呼ぶ。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

911の同時多発テロで、大切な父(トム・ハンクス)を亡くした少年オスカー(トーマス・ホーン)。ある日、父の部屋に入ったオスカーは、見たことのない1本の鍵を見つける。その鍵に父からのメッセージが託されているかもしれないと考えたオスカーは、この広いニューヨークで鍵の謎を解くため旅に出る。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
(C)2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」遺された少年が「死」を受容するまでに必要な冒険

 遺された者はどう生きるか。最悪の悲劇に立ちすくみ、それでも明日を生きていかねばならない者は、どう回復を遂げるのか。その切実なプロセスを、一人の少年の視点にただひたすら寄り添うことで、時代が求める物語に昇華させた、優しくスリリングな心のロードムービーだ。

 9・11の犠牲になった父との死別。11歳の少年にとって、世界の中心を成す存在が、突然姿を消したという受け容れがたい事実だけが心を占めている。遺体すら発見されず、空っぽの棺で行われる葬儀。それをまやかしだと看破した少年は、喪の仕事すら正常に済ませられないまま、深い喪失を抱え病的なまでの悲嘆に陥っている。しかし、父のクローゼットから発見した1つの鍵と謎めくメモに、目を輝かせるのだ。ニューヨーク中の鍵穴めぐりは無謀な冒険だが、父からの声なき指令と受け取った必死の形相に、観る者はすっかり同調させられてしまう。周到に練った計画に従って歩き回る大都会の貌(かお)は、危険極まりないジャングル。そこでは、襲撃されれば破局と化す乗り物以上に、無関心を決め込む他者が恐ろしい。

 マックス・フォン・シドーが演じる言葉を失った老人との出会いが、物語をふくよかにする。彼は第2次大戦中、ドイツのドレスデン無差別爆撃の遺族だ。アメリカが加害者だった惨劇を知る者を通して、作品は被害者意識という一面性を打ち消し、少年は心の友を得る。そして、少年の取り返しがつかない本当の苦悩が明かされる。

 父との最期を引き延ばし、「父性」を心に染み込ませていくために必要な時間。切なく苦しく虚しい精神状態に打ち克つための、現実に最も近いファンタジーでもある。(清水節)

映画.com(外部リンク)

2012年2月16日 更新

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