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ドライヴ (2011)

DRIVE

監督
ニコラス・ウィンディング・レフン
  • みたいムービー 1,680
  • みたログ 3,821

3.70 / 評価:1,736件

We were born to run.

  • バツイチ王子 さん
  • 2012年3月17日 3時44分
  • 閲覧数 4546
  • 役立ち度 72
    • 総合評価
    • ★★★★★

「Ryan Gosling didn't get an Academy nomination?」
きっかけはラッセル・クロウのそんなツイットだった
本作「ドライヴ」のライアン・ゴズリングに対し
アカデミーノミニーされないなんて!と憤る
ベテラン名優に、そこまで言わせるのか?
普通にノミネートされるよりも、余計に期待値が上がる

もっとも、彼の評価の高さは何度も客観的に耳にしていて
「ラースとその彼女」で、年配の俳優たちが
ライアンとの共演を心底喜んでいるのを見て驚いたこともある


「きみに読む物語」での、男気ある青年
「ラースとその彼女」での、優しく無垢な男
「ブルー・バレンタイン」では、壊れかけた愛を追う男
「ラヴ・アゲイン」では、スカした遊び人

大人しいヤサ男と見せかけ、無表情の中の微妙な動きで芯を滲ます
何を考えているのかわからない、ミステリアスな男
そんなライアン・ゴズリングのイメージにぴったりな本作
徹底して無駄の削がれた描写で、ヒリヒリするような空気感

「レオン」のように冷たい優しさで
「チェイサー」のように容赦なく
「ターミネーター」のように逞しい

孤独な中で触れた大事な人を、身を呈し守ろうとする男の哀愁
思い出すと咽び泣きそうなほど、孤独な生き様が染みた

この映画、ホンモノの凄味が詰まっている



昼はスタントマン、夜は強盗を逃がす「ドライバー」
無口で孤独な男が、隣人である人妻アイリーンと出会う
彼女により、ドライバーは孤独感から解放されていくが
服役から夫が戻ることで、それも終わりを告げる
しかし、夫に関わることでドライバーも危うい世界へ踏みこむ

とにかく、雰囲気を重視しスタイリッシュに画像を作り
頭で理解する前に、感覚的な喜怒哀楽が内から湧き上がらせる


例えばそれは、オープニング
ドライバーが強盗の逃走をする場面
「トランスポーター」のフランクのような“仕事”のルール
5分は待つ、連絡は最初で最後、銃は持たず運転だけ
そんなルールが、プロの空気感を醸し出す

そして“仕事”本番
派手なカーチェイスは禁物、闇に溶けるような仕事ぶりがリアルだ
一歩間違えば失敗する、ギリギリの緊張感に震えが走る



また無口な男に併せ、余計な説明はない
わずかなセリフに、少しの表情で想いを悟らせる
過度な演技はないのに、内からその感情が伝搬して湧き上がる

例えばそれは、雑貨店を出たドライバーが迷う場面
言葉のないわずかな躊躇いに
孤独に生きた男が、幸せに触れることへの自嘲が見える

但し行間を読ませて、逆に説明不足になら本末転倒だ
伝わらなければ、それはただの自己満足
不要な描写が無いと同時に、必要な描写があるのも重要だ

それでいてスピーディな展開なくせに
見せるべきところで、間を使う表現を惜しまない
技巧に懲りすぎない、その匙加減が抜群にいいのだから参ってしまう



また、思い切りのいいバイオレンスさも切れ味がいい
目的のために躊躇無く振るわれる暴力は、非常に潔く
一切の迷いのなさは、ウダウダ迷わないプロのなせる技だ

しかし、それを韓国映画のように露骨に見せない
バイオレンスのきっかけだけを与え、後は視覚以外で想像させる
それなのに、痛みや苦しみがドスンと胸に響く
視覚より感覚に訴えかけられるからだろうか



登場人物たちも、その研ぎ澄ました雰囲気を纏う

ロン“ヘルボーイ”パールマンの、独特の怪演
アルバート・ブルックスの、迷いなき振る舞い
オスカー・アイザックの、憎めない悪党っぷり

そこにキャリー・マリガンの薄倖な人妻の生々しい儚さが加わり
ドライバー、ライアンの血まみれな生き様と、鎬を削る
ブレない強さは、痛々しくも美しい



ドライバーは、一体どんな過去を持っているのだろうか
恐らく、かなり苦しく辛い世界を生き抜き
タフさと孤独、そしてドライヴテクニックを身につけたに違いない
刺激的な映画は、観終わった後にも様々な想像をさせてくれる

そんな孤独な男のカタルシス、それはとても切なく
彼のようにタフで優しくなれるかとオレに問いかけ、畏敬の念を抱かせる

ドライバーが身を呈し守ろうとした幸せ
それは、彼が持っている孤独と真逆のものだ
自己犠牲を厭わない男は、オレに男の美学を見せつけやがる
ふと、ブルース・スプリングスティーンの知られた曲を思い出す
Born to run 明日なき暴走


監督ニコラス・ウィンディング・レフン
確実に、その作品を押さえておきたい名前が一人増えた


己の想いに背かぬよう、一度踏んだアクセルは抜かない
その姿を、何度も見て震えたくなる
手放しで褒める以外、言葉が見つからない

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 悲しい
  • 勇敢
  • 切ない
  • かっこいい
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