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蝶々さん~最後の武士の娘~

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5.0

宮崎さんの蝶々さんが切なくも美しい

BD版が出たので、改めて見ました。 すべてが美しいのですが、やはりとても切ない話ですね。 でも本当に素晴らしい作品です。 今の時代、命に勝るものはなく、逆に言えば何があっても命だけは守るべきだという考えが主流ですが、過去の日本人は命より大切なものを確かに持っていたのです。 何よりも命を重視する発想からは、蝶々夫人が「武士の娘としての誇りのために、命を捨てた」ことは間違った選択に思えるかも知れません。しかし武家の教えはそうだったのです。命をかけて守らなければならないものがあったのです。そのことに思いを馳せて、この作品を見るとき、切なさが胸にこみ上げてきます。 前編後編合わせて3時間のこの作品は、映画にしても全く遜色のない、素晴らしいドラマ作品です。 この作品を見て思ったのは、 ・NHKのドラマ制作の底力はすごい ・武家の教えが残っていた明治の日本人女性は凛々しい ・宮崎あおいは唯一無二の女優だ と言うことです。 NHKのドラマも、実際には玉石混淆です。しかし、やはり優れたプロデューサーの下に優秀なスタッフが結集すると素晴らしい作品が生まれます。この作品は、そうしたNHKの力が発揮された作品の一つだと思います。 また、明治時代には今の日本人が忘れてしまった何かがありました。それはとても貴重なものであり、日本人は、ときどきそうした歴史の中に埋もれてしまった自分たちのアイデンティティを思い起こすべきでしょう。 そして最後に、NHKと宮崎さんとは本当に相性がよいと思います。彼女の細かい表情の演技や表現力は、CMが無く画面に集中できるNHKや映画でないと生きてこないと思います。そしてこの作品もそうですが、彼女が出演することで、ドラマ史に残る作品になります。他の女優ではこうはいきません。 プッチーニのオペラとは、また違った解釈であり、日本人の立場で「蝶々さん」を真正面から描く作品が残せて、本当に良かったと思います。

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