過去への贖罪への旅路
- milneko913 さん
- 2013年1月5日 20時40分
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貧しい地域にすむ若者はその地域が生きる世界のすべてだ。
狭い世界の中で、閉塞感に押しつぶされながら、ああはなりたくないと思う姿にいやおうなしに近づいてしまう事が多いだろう。
人は子供から大人になろうとするとき、なんらかの旅をきっかけにする事が多くはないだろうか。
その世界から飛び出したディート・モンティエルの回想録が本作だ。
NYクイーンズ地区。言わずと知れたダウンタウン。
仲間とつるんで自暴自棄な生き方をしていたディートがこことは違う何かを求め、大人になる為の旅に出る事を選んだ。
仲間となんとなく、上手くいかなくなっていく。
支配的な父親はディートの話を聞こうとしない。
それは遅くに出来た子供への愛情と、父親らしい、いい人間でありたいというエゴと、親の言う事が絶対で全能の神と同じ力を家庭内、家族に持っていると夢想する父親のエゴがディートを縛り付ける。
そこを振り切って新しい世界を手に入れた男の物語だ。
本作はディートの本を読んだロバート・ダウニーJrが映画化を持ちかけた作品。
サンダンス映画祭で賞を獲得しています。
このシチュエーションはまるでスパイク・リーなのだか、ここに出てくるディートはイタリア系なのか。白人だ。
肌の色は全く関係ない、人の悩みなんて、似ているということかな。
出演している俳優陣がとてもいい。
回顧シーンのシャイア・ラブーフ、チャニング・テイタム、チャズ・パルミンテリ、ダイアン・ウィースト、エリック・ロバーツにロザリオ・ドーソンです。
豪華です。
このキャストがあったからこそ、良い作品に仕上がったのでしょう。
父と息子の確執と和解の部分はお涙ちょうだいになりやすいシーンですが、敢えてそこを抑えた演出が全体を安っぽくさせません。
しかし、チャズ、この父親役が嵌まってます。
息子に一言も喋らせない支配的な父親である事を、あの目や動作で表現してます。
こんな父親だとさぞかし苦しい思いをしたでしょうと同情したくなってしまいます。
20年後の再開シーンでもチャズの頑固爺力は素晴らしい!
やりきっています。
チャニング・テイタムはいい体つきなのは変わらず。さらなる飛躍を期待したいです。
暴れん坊のアントニオ役があってますね。
対比するとラブーフのもやしっぽい演出といい対比バランス。
過去を一度捨ててしまっている人も、一度は過去に帰る旅をしてみては?
あなたが捨ててしまったものは本当はそこにあるもの。
実は、彼等があなたを捨てていなかったからだ。
もちろん、ケースバイケースで。
結果には責任は持てませんが・・・。
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