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少年は残酷な弓を射る (2011)

WE NEED TO TALK ABOUT KEVIN

監督
リン・ラムジー
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3.64 / 評価:549件

解説

イギリスの女性作家に贈られる文学賞として著名なオレンジ賞に輝く、ライオネル・シュライバーの小説を映画化した家族ドラマ。息子がとある事件を起こしたことを機に、それまでの彼と自身の向き合い方を見つめ直し、悩み抜く母親の姿を静謐(せいひつ)かつ重厚に映し出す。『フィクサー』のティルダ・スウィントンが、苦悩する母親にふんするだけでなく、製作総指揮も担当。メガホンを取るのは『モーヴァン』で注目を集めた、リン・ラムジー。衝撃的展開と殺伐としたムードに圧倒されるだけでなく、親と子の関係についても深く考えさせられる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

自由を重んじ、それを満喫しながら生きてきた作家のエヴァ(ティルダ・スウィントン)は、妊娠を機にそのキャリアを投げ打たざるを得なくなる。それゆえに生まれてきた息子ケヴィン(エズラ・ミラー)との間にはどこか溝のようなものができてしまい、彼自身もエヴァに決して心を開こうとはしなかった。やがて、美少年へと成長したケヴィンだったが、不穏な言動を繰り返した果てに、エヴァの人生そのものを破壊してしまう恐ろしい事件を引き起こす。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)UK Film Council / BBC / Independent Film Productions 2010
(C)UK Film Council / BBC / Independent Film Productions 2010

「少年は残酷な弓を射る」カタストロフが訪れたあとも人生は続く

 破局のあとも人生は続く。

 たとえば無差別狙撃犯が警官に射殺される。たとえば殺人の謎が解かれ犯人がつかまる。映画ならそこでエンドマークが出て物語は終わりだ。だが人生にエンドマークはない。カタストロフが訪れたあとも人生は続く。

 エバ(ティルダ・スウィントン)は郊外の荒れ果てた一軒家に住んでいる。能力もキャリアもありながら、なぜかただのアルバイトのタイプ打ちの身分に甘んじて、職場でも友人を作ろうとしない。世捨て人のような暮らしを続ける理由は、映画が進むうちに徐々にあきらかになってくる。彼女が生きているのは破局の後の人生なのである。彼女の回想の中で、映画はじりじりとゼロ・アワー、すべてが終わった破局に向かって進んでいく。これは凡百の映画が終わったところからはじまる映画なのだ。

 原題はWe Need to Talk about Kevinという。「ケビンのこと、ちゃんと話しあわなくちゃ」。だが、エバはどうしてもケビンのことを夫と話しあえなかった。それゆえ、エバは自分を罰せずにはいられないのだ。自分がなんらかの手を打っていれば、あるいはこんな結末は迎えずに済んだのかもしれない。エバが生きているのは永遠に続く煉獄である。だが、エバの答えの出ない苦悩と、ケビン(エズラ・ミラー)のどこまでも澄んで、なんの感情も湛えていない瞳とがついに向かい合うとき、あるいはそこにも救いはあるのかもしれない。(柳下毅一郎)

映画.com(外部リンク)

2012年6月21日 更新

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