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アーティスト (2011)

THE ARTIST

監督
ミシェル・アザナヴィシウス
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3.91 / 評価:1204件

複数のハンディキャップを乗り越えた傑作!

  • max******** さん
  • 2015年8月3日 18時23分
  • 閲覧数 1961
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

まず、「作品賞」受賞をしてるので、アカデミー賞について、ちと解説。
皆さん、アカデミー賞を選考するアカデミー会員ってどんな人達か知ってますか?
評論家やそれに類似するような職業の人?  ブブ~~・・・。
実はスピルバーグ監督であり、トムクルーズであり、コーエン兄弟であり、
プロデューサー、監督、俳優、脚本家、カメラマン、作曲家など、
実際に映画を作っている人達なのです。
渡辺謙が「ラストサムライ」で助演ノミネートされた時も、
彼自身がアカデミー会員かつ選考員になった為、
投票用紙と選考用の候補作品DVDがいっぱい送られてきたそうです。
(毎年数千人近い映画制作者が投票する。)

すなわち、身内(プロの映画出演・制作者)がその年の一番の身内(プロ)を選ぶのが、アカデミー賞なのです。
自分のライバルに近いような人からも、絶賛され投票されないと受賞出来ない。
だから評論家にいくら好評を得ても、喜ばないような大スターが、
受賞すると、涙を流すぐらいに感極まってしまうのです!

それゆえ、一般の方が見て一番面白かったという作品が選ばれない時もあります。
第82回(2010年)世界中で大ヒットした「アバター」が作品賞で選ればれず、
「ハート・ロッカー」が獲った時もそうでした。
おそらく「ハート・ロッカー」に作品賞を投票したアカデミー会員は、
面白いのは「アバター」だ、だが低予算であれほどインパクトがあり、
うまく作られているのは「ハート・ロッカー」だと、投票したのかもしれません。
(自分は断然「アバター」が獲らないとおかしい!と思いましたが・・・。)
あの年は作り手としての意見が多くおもてに出た結果でしょう。

さて今回の「作品賞」受賞のこの映画。 
まさに作り手側こそが絶賛する映画と思います。

この作品は最初からハンデを背負って作られている。
「白黒」映像、で「セリフ」「効果音」もなし。
映画の魅力が10あるとしたら、最初から6~7で戦っている。

役者が役柄をどう演じるかは、セリフをどう言うかに多くの表現力が求められる。
小声かどなるような大声か、早口かゆっくりか、高いキーかうなり声のような低音か、
なまり英語か、きれいなイングリッシュか等々・・。
この映画はそれを全く表現出来ない。

素晴らしい映像を見せるにも「色」は大変重要な要素だ。
黒沢明監督がある作品でセットの背景紙を作らせたのだが、
「赤」が自分の想像した「赤」でなく、十何回も大道具に作り直させたそうです。
そんな事は、この映画では全く出来ない。

なのに、なのに「作品賞」を獲った!!

それはいかに「白」「黒」「グレー」の濃淡だけで素晴らしい映像を作り、
いかに役者が、顔の筋肉の動きで表情を作り、うまく感情を表現したかを物語っている。

映画のワンシーンに"映画を撮っている"シーンがあるのだが、
主演のデュジャルダンが、「普段の顔」から「役の顔」にキリッと変わるシーンがある。
それが、何度も撮り直しするのだが、何度も同じ「役の顔」になる。
俳優は普通にやっている事でもこうして、まざまざと見せつけられると、
ほほ~~と見入ってしまう。

助演のベレニス・ベジョ も素晴らしく、
本当に「何十年も前の女優さん」のようなイメージをうまくかもし出している。
(実は監督の奥さん)
運転手役のジェームズ・クロムウェル (LAコンフィデンシャル等)もイイ味をだして、
マルコム・マクダウェル(時計仕掛けのオレンジ等)、
もちょこっと顔をだして、我々オールドファンを、「おっ♪」と嬉し驚かす。
そしてそれ以上に素晴らしいのがワンちゃんだ!
「戦火の馬」の主演の馬以上に素晴らしい演技をしている。
どうやってこんな動きをさせたのか?と思うシーンが何度も出てくる。

物語と脚本もシンプルなのだが、「大人の演出」が素晴らしい。
ひつこく見せるのではなく、見ている者に悟らせるようなシーンが多い。
それに、役者の変わりにあなたが"せりふ"を言って下さい!というような演出もイイ。
だからこの映画はイマジネーションが豊富な人ほど楽しめると思います♪

低予算でわずか35日で作られにも関わらず、「作品賞」を獲ったこの映画は、
コストパフォーマンスという点では、ここ何年かのベスト1とも言えると思います。
★4.7 オススメです。
是非、心の中で、自分で台詞を言いながら見てみて下さい。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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