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ヘルタースケルター (2012)

監督
蜷川実花
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2.70 / 評価:3138件

解説

雑誌「フィール・ヤング」で連載され、高い人気を誇る岡崎京子のコミックを実写化した、異色にして衝撃のドラマ。全身整形によって誰もがうらやむ美しさとスタイルを手にしてトップモデルへと上り詰めた女性が、欲望と背徳に満ちあふれた芸能界でさまざまな事件を引き起こしていく。『パッチギ!』『クローズド・ノート』の沢尻エリカが、自ら出演を熱望して虚構の美をまとったヒロインを熱演。メガホンを取るのは、『さくらん』で独特のビジュアルセンスを見せつけた、写真家の蜷川実花。『ハゲタカ』シリーズの大森南朋、『キャタピラー』の寺島しのぶ、『ノルウェイの森』の水原希子ら、実力派や注目株をそろえた共演陣も見どころだ。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

トップモデルとして芸能界の頂点に君臨し、人々の羨望(せんぼう)と嫉妬(しっと)を一身に集めるりりこ(沢尻エリカ)。だが、その人並み外れた美ぼうとスタイルは全身整形によってもたらされたものだった。そんな秘密を抱えながら弱肉強食を地でいくショウビズの世界をパワフルに渡り歩く彼女だったが、芸能界だけでなく、世間をひっくり返すような事件を引き起こし……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2012映画「ヘルタースケルター」製作委員会
(C)2012映画「ヘルタースケルター」製作委員会

「ヘルタースケルター」2012年というフリークな現実を生きる女性の叫びと涙

 「どうして神様はまず私達に若さと美しさを最初に与え、そして奪うのでしょう」

 シェークスピアか何かの引用か? と思いきや、これは岡崎京子の漫画原作中でサブキャラのひとりが吐くセリフである。そして、その言葉は、映画中にも印象的に使われ、蜷川実花監督の絢爛と全くその細部に嘘がないポップの筆致で増幅され、沢尻エリカという女優の力で大きなうねりとなって、もう、そのことは了解済みで現在を生きている女たちをも突き飛ばす。

 バブルの余韻がまだあった頃の原作の映画化だが、時代遅れどころか、3・11をへて、2012年の今にこそ公開されるべき多くの要素を含んでいることに驚いた。若さと美の状態を引き延ばすりりこの欲望は、大金を積まなくても、進化した化粧品で一般化されているし、当時は芸能人やプロスペックだったつけまつげは、今や、女子高校生アイテム。美容整形のタブー感も加速度的に払拭されて、美魔女が賞賛を浴びるフリークな時代が今なのだ。おまけにそれを手に入れても、全く満足できないし幸せでない、というりりこの”境地”までをも、今の女性たちは体感してしまっている。ラストのりりこの顛末記を、私は当時、ガルシア・マルケスの小説的なファンタジーと捉えたのだが、今や、ソレを現実に生きている女たちは少なくない。

 沢尻エリカのキャスティングは、彼女のスキャンダラスな生き様と若さと美のエクストリームなあり方の一致から、これはもう、言うこと無し(復帰作としても、原作が漫画文化の中の伝説的名作なので、話題性は充分)。果たして、スクリーンでの沢尻の演技と存在は、もともと「パッチギ!」ですでに注目されていた才能が、見事に開花したかのようなとんでもなく素晴らしい出来であり、劇中の大写しのりりこの叫びと涙は、まんま観客の女性たちの心の闇が現出したよう。最近の映画で、そこまでの主演女優の「メディア性」を出し得た作品はなかったのではないか。奴隷のように扱われるが、M女の暗い支配性をかいま見させる付き人役の寺島しのぶ、いつもの桃井節が役柄に今回はバッチリ当たった桃井かおりなど、女優脇役の名演も、やはり、女の当事者としての魂がこもってしまったが故の結果でしょうね。(湯山玲子)

映画.com(外部リンク)

2012年7月12日 更新

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