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おおかみこどもの雨と雪 (2012)

監督
細田守
  • みたいムービー 573
  • みたログ 1.1万

4.07 / 評価:9409件

「人と違う」ことの苦労

  • ざぶとん さん
  • 2017年10月17日 20時09分
  • 役立ち度 98
    • 総合評価
    • ★★★★★

本作を観て感じたのは、周りの人間と違うって辛いことなんだということです。
お父さんのおおかみ男は、自分がオオカミ男ということをずっと隠し続けて生きてきました。大学時代、後に雨と雪の母になる主人公花に初めて話しかけられた時、正体がバレないようにあえてそっけない態度をとります。その態度と表情からは人間という存在そのものを寄せ付けないように、嫌われるようにしていると感じました。しかし本音は人間と繋がりたい、仲良くなりたいと思っていいながらのものです。わざと嫌われる、その辛さはかなりのものだったでしょう。
あのような態度をとれば、今まではもう二度とその人から話しかけられることが無くなったようですが、花の場合は違いました。頑なにそばを離れず話しかけてくる花に対して、彼はちょっと戸惑っていたように感じます。この物語の多くは花が雪に話した体験談と雪の回想で出来ていますから、お父さんに対しては感情移入しません。お父さんが何を考えているのか分からないように作られているのです。しかし彼の寡黙な姿の奥には、話しかけてくる花への戸惑いを必死に隠していたと私は思います。そしてそんな花に惹かれていった。花は信じられると思った。だから勇気を出して正体を明かしたのでしょう。

花とオオカミ男のお父さんの間に生まれた雨と雪の奮闘も、そのほとんどが周りの人間と違うということが関係していました。そしてその奮闘は現実の世界の、周りと違うというだけでいじめが起こる現実の学校世界と重なりました。周りと違って太っている、周りと違ってブス、周りと違って髪の色が違う、周りと違って…。しかし本作はそのような問題を提起し、批判しているわけではありません。本作は、そんな中頑張って生きていく二人の頑張りを力強く描いており、周りと違うことで悩んでいたり、そのことでいじめを受けている人たちへのエールに聞こえました。
そして二人が落ち込んだりした時は花の笑顔と優しさで二人を包み込みます。人一倍苦労しながら生きている二人を包み込む姿からは、まるで自分も慰められているように感じ、それだけで涙が出てきます。気づかぬうちに自分の中に溜まっていたものが花の優しさによって流れ落ちていく。「共感」や「感動」とは違う、なんというか、懐かしい感覚に陥ります。

そして、二人はオオカミとして生きるか人間として生きるか、決断する時が来ます。二人はどう決断をするのか。

細田守監督ならではの爽やかな世界観で生きることへの勇気と希望を表し、広大な入道雲で成長を表していていて観ていて気持ちよく、心が洗われるようです。これ以上はネタバレになるので言いませんが、観終わった後のなんとも言えぬ清々しい気持ちは本作でしか味わえないでしょう。また、雨、雪、そしてお父さんをも包み込む花の笑顔には、ある秘密が隠されています。それも、実際に作品を観て確かめてください。

星5つ、素晴らしい作品です。

詳細評価

物語
配役
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