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おおかみこどもの雨と雪 (2012)

監督
細田守
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4.07 / 評価:8,428件

解説

『時をかける少女』や『サマーウォーズ』など、新作を発表するごとに注目を集めてきた細田守監督が手掛けたアニメーション。ヒロインがおおかみおとこと恋をして結婚し、出産、子育てなどの日々を送る13年間を映し出す。細田監督と共に脚本を手掛けるのは、『時をかける少女』『サマーウォーズ』でもタッグを組んだ奥寺佐渡子。キャラクターデザインを『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの貞本義行が担当する。おおかみこどもを育てる母と子の強いきずなに勇気をもらう。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

19歳の大学生花は、あるときおおかみおとこと運命的な恋に落ち、やがて雪と雨という姉弟が誕生する。彼らは、人間とおおかみの両方の血を引くおおかみこどもとしてこの世に生まれたのだが、そのことは誰にも知られてはならなかった。人目を忍びながらも家族四人で仲良く都会の一角で暮らしていたが、ある日、一家を不幸が襲い……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会
(C)2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会

「おおかみこどもの雨と雪」非婚と少子化のこの国で、家庭をもつことに憧憬を抱かせる寓話

 恋や青春を切なく描くボーイ・ミーツ・ガールはほんの幕開け。おとぎ話として、アニメならではのモーションの躍動を楽しむのもいい。しかし細田守は、「サマーウォーズ」で目覚めた家族に流れるエモーションを深化させた。ここにはしっかりと、人の営みが描かれている。

 ヒロインのときめきの対象が、人間の姿をしたおおかみおとこだったという展開に息を呑む。人と獣が混じり合った生き物の末裔という設定はあるものの、人目を忍ぶその姿は単なるモンスターなどではなく、メタファーであろう。人は誰も、少なからず異形を抱えた“おおかみ”である。他者と交わる上で心を閉ざす要因となるその屈折に、彼女は臆さない。異なる存在をまるごと受け入れてこそ愛は成就するという瞬間は、リアルな対人関係を避け孤立しがちな現代への大いなるアンチテーゼだ。

 甘美な時は長く続かない。出産そして子育て。視点は子供たちへ移行していく。人とおおかみの両面性を受け継ぎ育っていく姉と弟。もちろん“おおかみ”とは野性でもある。自我が頭をもたげ、やがて子は自身の可能性と限界に戸惑う。細田演出は、大地のような母性を仰ぎ見て、子のしなやかな生命力に瞠目する。雨に打たれ雪に耐える家族を、花のように繊細な眼差しで包むのだ。

 アニメらしからぬテーマを、あえてアニメで描くことに意味がある。とことん人と交われば傷つき苦しみもするが歓喜は計り知れないという思いを、「二次元」を無上の喜びとする者たちと共有するために。非婚と少子化のこの国で、生きづらさに打ち克ち、家庭をもつことに憧憬を抱かせる同時代の寓話である。(清水節)

映画.com(外部リンク)

2012年7月19日 更新

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