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臨場 劇場版 (2012)

監督
橋本一
  • みたいムービー 130
  • みたログ 1,039

3.45 / 評価:687件

☆焼き付けよ!根こそぎ拾う男の生き様☆

鑑賞した日が、映画の日でなかったら、
前日に公開された今作は、DVDレンタルで鑑賞していたかもしれない。
期待していませんでしたが、今作は、映画館で鑑賞して正解でした。

原作は、未読。TVドラマは未視聴。
ウィキで検索と、この映画のHPでしか、情報は知りません。
しかし、個人的には、これだけは言えます。
『一つの映画として観れば、実にいい映画である。』と。

原作、TVドラマを鑑賞後、
この映画を観て、深い洞察力に富んだレビューが、
理想なのかもしれませんが、今作は、イメージを持たず、
先入観なしで観たのが、よかったのでしょう。

ヘビーで、濃い映画であります。そして、心が震える映画であります。
序盤の、無差別通り魔殺人事件の、目を背けたくなるシーンで、
劇場内は一気に凍りつき、静寂感が支配し、
この映画は、シビアな内容で、
強いメッセージを備えた映画であることを印象付けます。

無差別通り魔殺人事件の2年後に起きた連続殺人事件。
連続殺人事件の二つの死亡時刻の謎。
そこから、浮かぶもう一つの事件。
僅かな、疑問点を感じ、独自の捜査を進める倉石義男(内野聖陽)。
そして、見えてきた悲しき真相。
ぶっきらぼうで、傲慢なキャラクターの奥底にある信念は、
確かに、観る者を惹きつけるものがあります。

事件の謎解きを表舞台としたら、
同時に展開するのは、刑法39条の意義と、冤罪、被害者のやり場のない悲しみ。
正義とは?贖罪とは?救済とは?
そして、生きるとは?
理不尽な世の中を、実に真正面から切っています。

そして、この映画の根底にあるのは、
主人公の倉石の捜査哲学である『根こそぎ拾う』が、真っ直ぐに描いていること。
今作で、倉石の捜査哲学のルーツを知ること。
そして、ある事件の真相を知ったときに見える、倉石の捜査哲学。
それは、死者の声に耳を傾けること。
それは、死ぬ間際の声を聞くことではなく、事件を解決するだけでなく、
どうして、そこに居たのか?そして、別の真意を知ったとき、
一つの区切りとなり、人々に僅かな光明が見えるのだと。

この骨太というべき映画は、
やはり、倉石義男を演じた内野聖陽の演技力でないと成立しない。
ぶっきらぼうであり、誰にも弱みを見せず、説明もぜず、気丈に見せる姿。
そして、倉石の捜査哲学を際立たせる、
安永泰三を演じた長塚京三の悲しみを秘めた演技も見事であったし、
通り魔犯人を演じた柄本佑は、凄い演技で間違いなく、個性派俳優の期待を感じる。
ここで書けない、脇役の演技も、この映画の完成度の高さに寄与している。

今作は、☆満点。
実に、骨太で筋を通した映画。
エンドロール後のエピローグで、いい意味で、後味の悪さを見せ、
不退転の決意で制作したと思わせ、同時に、この映画の濃さと凝縮感を感じる。

地味な内容で、そんなにヒットはしないかもしれない。
しかし、多くの人に観てもらいたいと思う。
TVドラマの映画化という宣伝は、不要と思わせる。

社会の理不尽さの中で、筋を通した、一人の男の美学と生き様。
129分の上映時間、
しっかりと、目に焼き付ける価値はあると思わせる映画である。

詳細評価

物語
配役
演出
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音楽

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